瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

中田薫『廃墟探訪』(6)

 昨日の続き。
 ちなみにこの『廃墟探訪』6〜7頁の文字は全て白抜き。158〜159頁「あとがきにかえて――すべての道は廃墟に通ず」と、7月15日付(1)で見たように6つあるコラムも同様で、本文は楷書体。
 それから、平成10年(1998)11月刊「現代怪奇解体新書」の段階で中田氏のスタンスは固まっている、と書いたが、これも7月15日付(1)で見たように、『廃墟探訪』は平成14年(2002)11月刊行だけれども、8頁の[初出]を見るに『GON!』1999年4月号が最も新しい。これは、「現代怪奇解体新書」256頁「筆者紹介」の記述と関連するのではないか、と思う。

中田薫 なかた・かおる
'68年新潟県生まれ。東京造形大学卒業後、/ライター&デザイナーに。来年の夏に向/け、某出版社にてベストセラーを画策中。


 この「ベストセラー」というのが『廃墟探訪』なのではないか。『廃墟探訪』152〜155頁の巻末付録「未掲載物件/お蔵出し!! 」からも察せられるように、『GON!』の連載はその後も続いていたらしいのに3年半も前の平成11年(1999)の4月号で切り上げているのは、ここでこの年の「夏」の刊行を目標にいよいよ本格的な編集作業に入り、収録範囲を確定させたためなのであろう。ところが、何らかの事情で3年半もかかって平成14年(2002)11月に漸く刊行されることとなった。「まえがきにかえて――妖しの廃墟を訪ねて」が「2002年10月」付ながら4年前の「現代怪奇解体新書」91頁の文章を殆どそのまま流用しているのも、この文章が用意された時期が、実際には「現代怪奇解体新書」刊行時にもっと接近していたからなのだろうと思う。まぁ、総論的な文章だから、そうでなくても別に構わないのだけれども。(以下続稿)