瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

横溝正史『犬神家の一族』(3)

・角川文庫2897(2)
 「カバーデザイン大路浩実」のカバーは、改版二十三版・改版二十五版・改版二十六版・改版27版に掛かっているのを見た*1
 しかしながら、改版二十三版と改版二十五版は(未見ながら改版二十四版も)市川崑監督の映画『犬神家の一族』リメイク版公開と同じ平成18年(2006)12月の増刷なので、当初は前回7月21日付(2)に紹介した改版二十二版と同じく、白マスクの犬神佐清(実は■■■■)のカバーが掛かっていたものと思われる。しかしながら思ったより映画が当らなかったため増刷した程は捌けず、映画公開が終わってから返本もしくは注文が入らず未出荷に終わった本に、大路氏のカバーを掛けて、時間を掛けて捌いて行ったのであろう。改版二十六版が3年3ヶ月余り後、改版27版まで約6年掛かっているところから、この映画を当て込んでの増刷が、当てが外れて大量の余剰在庫を生み出したらしいことが察せられる。もちろん、いづれ捌けることは確実だから廃棄処分の必要はなかったろうが。
 私の見た改版二十三版・改版二十五版・改版二十六版に掛かっているカバーは一致。改版27版はカバー裏表紙に1行追加がある他は一致。
 カバー背表紙、黒地で最上部にゴシック体白抜きで小さく「よ/5-5」数字は横並び中央揃え。1字分空けて楷書体白抜きで著者名、橙色と淡い橙色の「Y」と「S」を組み合わせた円形に近いマークがあって楷書体白抜きで大きく標題。下部にゴシック体白抜きで「角川文庫」とあって橙色「|■」細線と最下部の橙色(0.5cm)の間は黒(0.1cm)。
 カバー表紙折返しの文字は全てゴシック体横組みで、最上部に右手の人指し指と中指の間に煙草を挟んだ斜めから撮った白黒写真(2.0×2.0cm)の下に「横溝正史/(よこみぞ せいし)」とあり、さらに横線(4.5cm)があるのは改版二十二版のカバーに同じ、紹介文はほぼ同じで、異同は数字が半角になっていることと、「宝石」が「探偵小説専門誌」ではなく「探偵小説雑誌」になっていることである。

1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪/薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」/「探偵小説」の編集長を歴任し32年に/退社後、文筆活動に入る。信州での療/養、岡山での疎開生活を経て、戦後は/探偵小説雑誌「宝石」に、『本陣殺人/事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編/賞)、『獄門島』、『悪魔の手毬唄』など*2/の名作を次々と発表。76年、映画「犬/神家の一族」で爆発的横溝ブームが到/来。今もなお多くの読者の支持を得て/いる。81年、永眠。


 下部左寄りににゴシック体横組みで「カバーデザイン/大路浩実」。
 カバー裏表紙折返し、ゴシック体横組みで「角川文庫|横溝正史の本 ||」横線(4.5cm)3本、以下25点27冊「八つ墓村/本陣殺人事件/獄門島悪魔が来りて笛を吹く犬神家の一族/人面瘡/夜歩く/迷路荘の惨劇/女王蜂/幽霊男/首/悪魔の手毬唄/三つ首塔/七つの仮面/悪魔の寵児/悪魔の百唇譜/仮面舞踏会/白と黒/悪霊島(上)(下)病院坂の首縊りの家(上)(下)/双生児は囁く/悪魔の降誕祭/殺人鬼/喘ぎ泣く死美人/髑髏検校          ほか」右下にKBマーク。
 カバー裏表紙は白地で、左上にあるバーコード2つは改版二十二版のカバーに同じ。その下に「ISBN978-4-04-130405-1/C0193 \667E/定価本体667円(税別)」とある。なお、改版27版は定価の1行が若干上に移動し、その下に1行「ADOKAWA」が追加されている。右上にゴシック体横組みで以下の紹介文がある。

信州財界の一巨頭、犬神財閥の/創始者犬神佐兵衛は、相続人を/驚駭*3させる条件を課した遺言状/を残して永眠した。佐兵衛は正/室を持たず、女ばかりの三人の/子があったが、それぞれ生母を/異にしていた。一族の不吉な争/いを予期し、金田一耕助に協力/を要請していた顧問弁護士事務/所の若林が何者かに殺害される。/だが、これは次々と起こる連続/殺人事件の発端に過ぎなかった!/血の系譜を巡る悲劇、日本推理/小説史上不朽の名作!!


 改版二十二版のカバーの比較するに挙がっている人数を減らしてある。(以下続稿)

*1:2017年6月3日追記】改版二十版も見た。

*2:この行の二重鍵括弧は半角、読点が全角。

*3:ルビ「きようがい」。