瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

宮澤賢治『注文の多い料理店』(5)

・角川文庫924(4)
 前回見たように、改訂新版以前の奥付には「昭和三十一年五月二十日初版発行」とあるのだが、この頃の本はまだ見ていない。歴史的仮名遣いでカバーも掛かっていなかったはずである。
 今までに私が見た中で最も古いのは丸木俊(1912.2.11〜2000.1.13)のカバーの掛かった、昭和末年の2冊である。
丸木俊のカバー
【改版三十六版】昭和三十一年五月二十日初版発行・昭和四十四年三月三十日十四版発行・昭和六十二年六月十日改版三十六版発行(201頁)定価260円
【改版三十七版】昭和三十一年五月二十日初版発行・昭和四十四年三月三十日十四版発行・昭和六十二年七月二十日改版三十七版発行(201頁)定価260円
 改版三十六版と改版三十七版のカバーは一致、奥付の印刷が改版三十六版は薄く改版三十七版は濃いがほぼ同じで、異同はそれぞれの発行日と「製本所――」が改版三十六版「大谷製本」改版三十七版「文宝堂製本」のみ。目録も同じ。
 カバー表紙、上部2.4cmがエメラルドグリーン地にゴシック体横組みで、最上部に太字横組みで大きく標題、その下、左寄せで太字で著者名、右寄せでゴシック体で小さく「角川文庫」とある。絵は2匹の牡鹿で、原色や赤い椿の花を背景にしている。
 カバー背表紙は水色地で上部に明朝体で大きく標題、中央やや下に著者名、下部に「角川文庫 緑 四〇1 ― 260」とある。
 カバー表紙折返し、上部の横組みの紹介文は昨日触れたように飯野氏のカバー(改版四十五版)にも引き継がれている。標題と本文の間に半行分空白があるのは共通。丸木氏のカバーの改行位置を「/」、飯野氏のカバーの改行位置を「|」にて示した。

注文の多い料理店
 すでに新しい古典として定着し、|賢/治自身がもっとも自信に満ちて編|集し/た童話集初版本の復刻版であり、*1|文庫/本で可能な限り、当時の挿絵等|を復元/した。表題作の他、*2「どんぐり|と山猫」/「狼森と笊森、盗森」「烏の北|斗七星」「水/仙月の四日」「山男の四*3|月」「かしわばや/しの夜」「月夜のでん|しんばしら」「鹿踊/りのはじまり」を*4|収む。


 下部の広告は2013年9月13日付「角川文庫の「月刊カドカワ」の広告(1)」の。最下部右寄せでゴシック体「カバー 丸木 俊」。
 カバー裏表紙は白地で最上部に「ISBN4-04-104001-9 C0193 \260E 定価260円」とあるのみ。
 カバー裏表紙折返しは一致。横組みで、上部に「角川文庫宮沢賢治作品集」1行分空けて「注文の多い料理店セロ弾きのゴーシュ銀河鉄道の夜宮沢賢治詩集/風 の 又 三 郎」とあり、最下部左に明朝体で小さく「カバー 旭印刷」、右下にKBマーク。
 本体、201頁までは前回見た飯野氏のカバーが掛かった改版四十五版・改版五十版に一致。186〜191頁、末尾(191頁10行め)に下詰めで「(奥 田 弘 編)」とある「主要参考文献/――主として童話を中心に――」に、191頁9行めに下詰めで「(昭五八・一・一五 改稿)」とあるところから、奥付には表示されていないがこの201頁の版は昭和58年(1983)の改版であると見当が付く。
 改版三十七版と改版四十五版の奥付、匡郭は同じ寸法(11.7×7.5cm)で四隅が切れている。子持枠(4.5×4.9cm)にも隅に隙間やズレが認められる。改版三十七版の発行日の3行は詰まっている。改版四十五版は行間に余裕があり「平 成 元 年」の組み方も字間に余裕がある。改版五十版の匡郭(11.6×7.6cm)は四隅が繋がって子持枠(4.6×5.0cm)も綺麗になっている。活字も組み直され、発行日の3行も縦横ともに詰まっている。
 改版三十七版と改版四十五版は電話番号と製本所に異同。改版四十五版では匡郭下辺の下、左詰めに「み 1-1」が追加されている。右詰めのISBNコードとCコードは同じ。
 改版五十版は、子持枠の中の振仮名が従来の「みやざわけんじ」だけではなく「ちゆうもん・おお・りようりてん」が追加されていること、郵便番号3桁と振替番号の間がこれまで半角空いていたのが全角になっている他は改版四十五版に同じ*5。匡郭下辺の下の「み 1-1」は若干上にズレている。また最後のCコードが「C0195」になっている。
 「角川文庫発刊に際して」の双郭(11.2×7.5cm)は同じ寸法*6
 目録、改版三十七版は3段組の「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)1985年8月」が(2)頁と(3)頁の2頁、1段21点で「宮 沢 賢 治」は下段2〜7点め「注文の多い料理店セロ弾きのゴーシュ銀河鉄道の夜風の又三郎/蛙のゴム靴/ポラーノの広場」と8点め「宮沢賢治詩集 中 村 稔 編」。最後に1頁10点の「角川文庫 最新刊」の(49)(50)頁、著者、標題、1行14字の紹介文2行、定価が縦に並ぶ。
 改版四十五版は上半分(上辺と左辺・右辺の上半分)に飾り枠がある「角川文庫 最新刊」が4頁、1頁6点で明朝体で標題、ゴシック体で著者名、1行10字の紹介文が3行。間を縦線(11.9cm)で仕切り、飾り枠の右辺の下(5.7cm)と左辺の下(6.0cm)も縦線。
 改版五十版は1頁6点の「角 川 文 庫 最 新 刊 」が3頁、明朝体で標題、ゴシック体で著者名、1行10字の紹介文が3行。7本の縦線(11.3cm)で仕切る*7。4頁めは『天と地と』の「角川映画 」に因む「海音寺潮五郎の作品 」で5点20冊。(以下続稿)

*1:この読点、改版四十五版は半角でぶら下げずに追い込む。

*2:この読点、改版四十五版は半角。

*3:改版四十五版のこの行、鍵括弧閉じ開きで1字半分。

*4:改版四十五版のこの行、鍵括弧開きは半角。

*5:2017年2月24日追記】改版五十五版も(恐らく)同じ。匡郭下辺の下のズレなどは現物で比較出来ていないので記述出来ない。Cコードは「C0193」。

*6:2017年2月24日追記】改版五十五版も同じ。

*7:2017年2月24日追記】改版五十五版はこの形式の目録が4頁。