瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

今野圓輔『怪談』(6)

 それでは、現代教養文庫版及び中公文庫版について、1章め「Ⅰ 幽霊・妖怪の登場」の細目を見て行くこととする。図版はキャプションの前に掲載位置を示した。キャプションの位置は下に小さく明朝体横組みである。本文には図版等、現代教養文庫版にない要素はないと思われるので、現代教養文庫版を主に、→ で中公文庫版の対応箇所を示した。
「一、怪談はなぜもてはやされるか」8〜15頁2行め
   →「Ⅰ―1 怪談はなぜもてはやされるか」8〜15頁1行め
  「夏の夜の寵児」8頁2行め〜9頁8行め → 8頁2行め〜9頁8行め
   《写真》9頁左上「怪談映画の流行(怪談牡丹灯籠 <東映作品>)」→ なし
  「四つの特性」9頁9行め〜11頁17行め → 9頁9行め〜11頁17行め
  「その栄枯盛衰」12頁1行め〜15頁2行め → 12頁1行め〜15頁1行め
   《写真》13頁下「人 気 の 集 中 す る 河 童 展」→ なし
・野淵昶監督『怪談牡丹燈籠』 昭和30年(1955)7月12日公開
 監督の野渕昶(1896.7.7〜1968.2.1)は戦前から活動していたが、本作が最後の監督(脚本)作品となった。前回触れた『怪談番町皿屋敷』にも出演していた東千代之介が主演で萩原新三郎を演じ、ヒロインお露は田代百合子(1931.11.3生)で田代氏は昭和27年(1952)から80本以上の映画に出演しており、最後の出演作は昭和35年(1960)11月13日公開の小津安二郎監督『秋日和』である。TVドラマにはその後もしばらく出演しており、最後は昭和39年(1964)10月27日放映のフジテレビの連続ドラマ「第7の男」第1回「切り札の7」であった。
「二、怪談の主人公たち」15頁3行め〜21頁
   →「Ⅰ―2 怪談の主人公たち」15頁2行め〜21頁
  「幽霊」15頁4行め〜17頁9行め → 15頁3行め〜17頁4行め
   《図版》16頁右下「幽霊送り提燈(歌川国輝筆)」→ なし
  「妖怪変化」17頁10行め〜21頁5行め → 17頁5行め〜20頁15行め
   《図版》19頁左上「化 猫(月岡芳年筆)」→ なし
  「憑きもの」21頁6〜17行め*1 → 21頁(1〜14行め)
「三、幽霊・妖怪出現の背景」22〜30頁
   →「Ⅰ―3 幽霊・妖怪出現の背景」22〜30頁
  「雑音にひしめく都会」22頁2行め〜23頁11行め → 22頁2行め〜24頁6行め
   《写真》23頁上「お化けも顔まけする明かるい大都会の夜景」
        →222頁左【写真1・お化けも顔まけする大都会の夜景】
  「ランプにかすむ田舎」23頁12行め〜26頁8行め → 24頁7行め〜26頁7行め
  「カワタレ時・逢魔が時」26頁9行め*2〜29頁7行め → 26頁8行め〜29頁14行め
  「ネオンに挑む幽霊」29頁8行め〜30頁3行め → 29頁15行め〜30頁12行め
 中公文庫版「解説」に縮小転載されている【写真1】の下に附された、小池氏による説明は次の通り。

 本書「Ⅰ―3 幽霊・妖怪出現の背景」/の「雑音にひしめく都会」の項に掲載。/原著者自身の撮影によるものと考えられ/る。昭和三十年当時は銀座をはじめとす/る盛り場が大都会と化し、戦前の名残が/失われるとともに“夜景”が誕生した。/都会にあっては古来の化け物はリアリテ/ィを持ち得ず、一方で猥雑な人間関係を/映し出した幽霊話は盛んになった。その/対比も本書の扱う課題であった。


 写真の寸法は現代教養文庫版(6.2×7.6cm)に対し中公文庫版(3.6×4.5cm)である。――夜景撮影は技術が必要であり、新聞社勤務を生かして入手したらしい映画のスチル写真の使用を見ても、この写真は新聞社のカメラマンに依頼して撮影してもらった可能性もある、いやむしろその可能性の方が高いのではないだろうか。(以下続稿)

*1:ルビ「つ」。

*2:ルビ「どき・おうま・どき」。