瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張『山中鹿之助』(1)

・P+D BOOKS小学館・B6判並製本

山中鹿之助 (P+D BOOKS)

山中鹿之助 (P+D BOOKS)

・2015年5月25日  初版第1刷発行/2015年7月11日    第3刷発行(190頁)定価500円
 この「P+D BOOKS」と云うレーベルについては、190頁の次、裏が奥付になっている頁の下部にゴシック体横組みで「P+D BOOKS」とあって、その下に書影に示した表紙(カバーは掛かっていない)の右下と同じく本を開いた形らしき、遠くを飛ぶ渡り鳥の翼を拡げた姿らしくも見える左右2つの丘のある線が引かれ、さらにその下に「ピー プラス ディー ブックス」と読みを示し、1行空けて、

後世に受け継がれるべき名作でありながら、現在入手困難となっている作品を、/B6判のペーパーバック書籍と電子書籍で、同時かつ同価格にて発売・発信する、/小学館のまったく新しいスタイルのブックレーベルです。

と説明している。
 作品と本文については同じページの中央、明朝体横組みで以下のように説明している。

(お断り)
本作品は1957年4月より、小学館発行の雑誌「中学生の友3年」~「高校進学」に/1年間連載され、今回初めて一冊にまとめたものです。
あきらかに間違いと思われるものについては訂正いたしましたが、/基本的に底本にしたがっております。
また、底本にある人種・身分・職業・身体等に関する表現で、/現在からみれば、不当、不適切と思われる箇所がありますが、/著者に差別的意図のないこと、/時代背景と作品価値とを鑑み、著者が故人でもあるため、原文のままにしております。


 下のレーベルの説明との間を渡り鳥型の線で区切っている。同じ線は奥付にも、中央に縦組み箇所と下部の横組み箇所の仕切りとして使用されているのである。
小学館文庫

山中鹿之助 (小学館文庫)

山中鹿之助 (小学館文庫)

・二〇一六年八月十日 初版第一刷発行(205頁)定価500円
 初出について、P+D BOOKS版のような説明の仕方をしていないが、それはもちろん「解説」が追加されているからである。「不適切」な表現についての断り書のみ、2~3頁(頁付なし)見開きの「目 次」の3頁左下(8~11行め)に明朝体縦組みで小さく、

※本書には、人種・身分・職業・身体等に関する表現で、/ 現在からみれば不適切と思われる箇所があります。
 しかし著者が故人でもあり、表現に差別的意図のないこと、/ 時代背景と作品価値を鑑み、原文のままとしております。

と添えている。199~205頁、末國善己「解説」等については次回触れることにして、ここではカバー裏表紙中央の紹介文を見て置こう。明朝体縦組みで、

 戦国時代、山陰地方を治め/ていた尼子氏には、「楠木正/成にも勝る」と謳われた武将/がいた。その勇猛さと才智を/頼山陽勝海舟にも激賞され/た山中鹿之助幸盛は、天文十/四年(一五四五年)、出雲国/富田に生まれた。幼少期を山/野で過ごした鹿之助は、三日/月の前立てと鹿の双角を備え/た兜を被り、一騎打ちに抜群/の強さを発揮した。しかし尼/子氏は幾多の戦いを繰り返し/た後、強敵毛利元就の軍門に/下ってしまう。それでも鹿之/助だけは、百回打ちのめされ/ても千回挫折を味わっても、/尼子家再興を諦めなかった。/清張歴史文学の頂点を極めた/伝説の名作、ついに文庫化!

と説明する。P+D BOOKS版には帯もなく、表紙・裏表紙等にこのような紹介は全くなかった。「頂点を極めた伝説の名作」と呼ぶに相応しいかどうかはともかくとして。(以下続稿)