・「女の長風呂」シリーズ(2)
最初の2点の、単行本と文庫版計4冊を揃えただけなので、専ら『田辺聖子全集』第九巻の浦西和彦「解題」に頼って記述することになるのだけれども、ここでシリーズ全体について眺めて置きましょう。
まづ、「週刊文春」連載時の題と、休載期間を確認して置きましょう。
・「女の長風呂」
第13巻42号(昭和46年10月25日発行)~第15巻41号(昭和48年10月15日発行)
・「イブのおくれ毛」
第15巻42号(昭和48年10月22日発行)~第17巻40号(昭和50年10月2日発行)
・「ああカモカのおっちゃん」
第17巻41号(昭和50年10月9日発行)~第19巻35号(昭和52年9月1日発行)
・「カモカのおっちゃん興味しんしん」
第19巻36号(昭和52年9月8日発行)~第21巻35号(昭和54年8月30日発行)
・「芋たこ長電話」
第21巻36号(昭和54年9月6日発行)~第23巻34号(昭和56年8月27日発行)
・ 休載1
・「女の口髭」
第24巻2号(昭和57年1月14日発行)~第25巻6号(昭和58年2月10日発行)
・ 休載2
・「女の幕ノ内弁当」
第25巻15号(昭和58年4月14日発行)~第27巻13号(昭和60年4月4日発行)
・ 休載3
・「浪花ままごと」
第27巻22号(昭和60年6月6日発行)~第29巻23号(昭和62年6月11日発行)
最初の10年(9年10ヶ月)は休みなく連載していたようです。同じ題で2年、1年1冊で単行本化されております。「カモカのおっちゃん興味しんしん」までは単行本の2冊めも同題で「続」もしくは「Ⅱ」となっていましたが「芋たこ長電話」の後半から題が変わっております。文庫版では『ああカモカのおっちゃんⅡ』から改題されて『カモカのおっちゃん興味しんしん』は文庫版の題に採用されておりません。
そして「芋たこ長電話」の終了から4ヶ月半の休載1を挟んで「女の口髭」が1年、以後は2ヶ月の休載を挟みつつ「女の幕ノ内弁当」2年、「浪花ままごと」2年で、15年間という勘定になっております。単行本と文庫版の対照関係は、簡単な表にして置きましょう。全集150編の内訳も添えて置きました。
単行本 | 文庫版 | 全集収録数 | |
---|---|---|---|
① | 女の長風呂 | 女の長風呂 | 14 |
② | 女の長風呂(続) | 女の長風呂Ⅱ | 12 |
③ | イブのおくれ毛 | イブのおくれ毛Ⅰ | 11 |
④ | イブのおくれ毛(続) | イブのおくれ毛Ⅱ | 6 |
⑤ | ああカモカのおっちゃん | ああカモカのおっちゃん | 9 |
⑥ | ああカモカのおっちゃんⅡ | 女の気まま運転 | 9 |
⑦ | カモカのおっちゃん興味しんしんⅠ | 女の停車場 | 8 |
⑧ | カモカのおっちゃん興味しんしんⅡ | 女のハイウェイ | 4 |
⑨ | 芋たこ長電話 | 芋たこ長電話 | 13 |
⑩ | 女の居酒屋 | 女の居酒屋 | 12 |
⑪ | 女の口髭 | 女の口髭 | 9 |
⑫ | 女の幕ノ内弁当 | 女の幕ノ内弁当 | 12 |
⑬ | 女の中年かるた | 女の中年かるた | 16 |
⑭ | 浪花ままごと | 浪花ままごと | 6 |
⑮ | 女のとおせんぼ | 女のとおせんぼ | 9 |
⑥⑦⑧の文庫版には「カモカ・シリーズⅡ(~Ⅳ)」のシリーズ名が与えられております。しかし、それにしても、①②『女の長風呂』正続にはそれぞれ50編ずつ収録されておりますので、1/4程度の収録では如何にも少ない、と申せましょう。(以下続稿)