瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

祖母の蔵書(104)三田村鳶魚

 祖母は個人全集を揃いで買うと云う発想がなかったらしく、昨日見た『真山青果全集』は第一巻だけだし、『吉川英治全集』は9冊、『田辺聖子長篇全集』は2冊だけである。――これまで、意外なところから少なからぬ冊数を掘り出して来たが、流石にここまで来て、これら全集の残りの巻全てが祖母宅の何処かに眠っているとは思えない。やはり、書店で見掛けて欲しくなった巻だけを買って、揃えようとは思わなかった、としか思えないのである。現に、吉川英治田辺聖子も、作品ごとに別々の場所に置いてあった。
 さて、2019年5月21日付「『三田村鳶魚日記』(26)」に述べたように、3年前の春、私は日記の巻を始めとする『三田村鳶魚全集』や関連する資料を図書館から借り出して机辺に積み上げて、三田村氏の妻の弟や妹の家族を始めとする周囲の人物についての記述を拾ってはせっせとメモを取っていたのだが、それを見ていた家人が『三田村鳶魚全集』なら祖母のところにあるはずだ、と言う。そこで鍵を借りて探しに行ったのだが、仏間の硝子棚に3冊あるばかりで、当然『日記』などまでは買っていないのであった。
・『三田村鳶魚全集』中央公論社・四六判上製本函入
 3冊とも函にパラフィン紙、そして帯が掛かっている。
・第1回配本『第十一巻』昭和五十年四月 十 五 日印刷・昭和五十年四月二十五日発行・価1800円・380頁

※「三田村鳶魚全集 月報」第1号(昭和50年4月・12頁)挟まる。
・第2回配本『第十巻』昭和五十年五月 十 五 日印刷・昭和五十年五月二十六日発行・価1800円・387頁・第7回配本『第二巻』昭和五十年十月 十 五 日印刷・昭和五十年十月二十五日発行・価1800円・398頁
※「三田村鳶魚全集 月報」第7号(昭和50年10月・12頁)挟まる。B7判(B6折)「江馬務著作集」のチラシ挟まる。やや厚い黄緑色の紙(16.1×9.8cm)の「三田村鳶魚全集」全巻内容一覧と裏面に「年 代 表(江戸時代)」1596年から1867年まで3列に|西暦|干支|天皇/将軍/年号|を一覧にした表が挟まる。
 残して置こうかと思ったのだが、普段使わないものは仕舞い込んで、いざと云うときに出すのに難儀することになるだけである。
三田村鳶魚全集』の編者であった朝倉治彦が新たに編集した次の文庫は、最初の2冊だけ買っていた。
・中公文庫『鳶魚江戸文庫』中央公論社 朝倉治彦
み 15 3『捕物の話 鳶魚江戸文庫1』1996年9月3日印刷・1996年9月18日発行・定価757円・420頁※ 帯あり「今月の新刊」書影に同じ
み 15 4『江戸の女 鳶魚江戸文庫2』1996年10月3日印刷・1996年10月18日発行・定価757円・404頁※ 帯あり「今月の新刊」書影に同じ
 帯の裏表紙側には「全巻内容」があるが [12] まで。本シリーズは最終的に全36巻・別巻2巻となったから、そこそこ売れたらしい。しかし祖母は、刊行開始当初の、宣伝に力が入っている頃に買って、続かなくなる癖があったようだ。
 ところで以前、三田村鳶魚日記の考証をしていたとき『捕物の話』巻頭、9~33頁、菊池明「三田村鳶魚翁」を参考にすべきであったのに見落としていた。しかしこれも近所の市立図書館に所蔵されているから、必要なときに借りて見れば良い。そう思って、この文庫版2冊も早々に処分してしまった。
 三田村鳶魚日記の検討、その後、何とはなしに滞らせていたが、国立国会図書館デジタルコレクションの刷新で周辺事項の掘り下げが容易になったから、出来れば再開したいと思っているのだけれども、そのときになって、これらの本をまた見たくなるかも知れない。しかし、そのとき借りて確認すれば良い、と思っている。(以下続稿)