⑤新潮文庫11022『やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記』平成三十年十月一日発行・定価630円・395頁
- 作者:左京, 小松
- 発売日: 2018/09/28
- メディア: 文庫
『果しなき流れの果に』『復活の/日』『日本沈没』――。日本SF史/に輝く傑作の数々を遺した小松左/京の原点は、戦中戦後の動乱期を/過ごした旧制中学・高校時代にあ/った。また京大人文研とのつなが/りから、大阪万博にブレーンとし/て関わった顚末とは。幻の自伝的/青春小説と手記によって、そのエ/ネルギッシュな日々が甦る。若き/日の漫画家デビューなど、新事実/も踏まえた文庫オリジナル編集版。
と纏められており、さらに5~11頁、新潮社編集部「はじめに」に詳しく説明されている。5頁8行め「‥‥、小松左京は日本を代表するSF作家である。‥‥」として、その作家としての業績について纏め、さらに6頁8~9行め「‥‥、その生涯をたどると、意外に知/られていない、いくつもの顔が見えてくる。」として、以下1行分ずつ空けながら、いくつかの「顔」について説明している。
・6頁10行め「「漫画家」としての顔。」
・7頁5行め「「放送作家」としての顔。」
・7頁13行め「「大阪万博のブレーン」としての顔。」
・8頁10行め「「ルポライター」としての顔。」
そして1行分空けて9頁4行め「 まだまだある。‥‥」として、7行め「‥‥。文系理系を超えたあらゆる学問を咀嚼し、吸収し、‥‥*1」ての業績に触れ、この多面的な人物について纏めている。
そして、1行分空けて10頁3~12行め、
本書は、そんな小松左京をあらためて知る手がかりにと願って、新潮文庫のオリジ/ナル版として編まれたものである。二〇一一年に没して以降、漫画家時代の新たな資/料も発見され、小松左京像も更新され続けている。そうした再診の成果も踏まえなが/ら、作家・小松左京の原点を知るうえで必読のテキストを収めた。
第一部の「やぶれかぶれ青春記」は、『螢雪*2時代』に連載されたユーモラスで半ば/やけくそ気味な自伝的青春小説。戦時下の旧制中学時代と戦後の旧制高校生活、その/どちらも小松のバックボーンとなっていることがわかる。しかし、じつはこの「青春/記」には書かれていない重要な事柄があった。それは何か、そしてなぜ書かれなかっ/たのか――。子息・小松実盛*3氏の寄稿も併せてお読みいただきたい。
第二部は「大阪万博奮闘記」として二編を収めた。‥‥
とある。――すなわち、大阪万博関連の文章2篇を収録してこのような題を与えたので「大阪万博奮闘記」と云う作品がある訳ではない。
13頁(頁付なし)中扉で標題。
15頁(頁付なし)「第一部 やぶれかぶれ青春記」の扉。16頁はまづ、2字下げ6行取りで大きく「やぶれかぶれ青春記」とあって、2行分空けて、3字下げ3行取りでやや大きく「まえがき」、以下の章の見出しも同様。残りに本文5行。
本文は1頁16行、1行38字。204頁まで。
205~231頁、小 松 実 盛「「青春記」に書かれなかったこと/――漫画家としての小松左京」、末尾(231頁3行め)に下詰めで小さく「(二〇一八年八月、小松左京次男・小松左京ライブラリ)」とある。
233頁(頁付なし)「第二部 大阪万博奮闘記」の扉。234~344頁「ニッポン・七〇年代前夜」、345~367頁「万国博はもうはじまっている」、そして368~381頁に第二部の解説に当たる、加 藤 秀 俊「小松左京と走り抜けた日々」末尾(381頁15行め)に下詰めで小さく「(二〇一八年八月、社会学者 談)」とある。
382~395頁「小松左京年譜」2段組み。頁付があるのはここまで。
次の見開きが「刊行履歴及び底本」で、右頁2~7行めに、
『やぶれかぶれ青春記』
初出 『螢雪時代』(旺文社)一九六九年四月号~十一月号
書籍 『やぶれかぶれ青春記』(旺文社文庫)一九七五年二月
『やぶれかぶれ青春記』(勁文社)一九九〇年一月
『小松左京全集完全版34』(城西国際大学出版会、二〇〇九年五月)
*旺文社文庫版を底本とした。
とある。次の見開きは1頁6点の目録、最後に奥付。
まづカバー裏表紙の紹介文であるが、本作のことを「幻の自伝的青春小説」と呼んでいる。しかし①旺文社文庫版、②勁文社版、③ケイブンシャ文庫版、④全集の4種の刊本があり、「幻の」を冠するのは大袈裟である。①は30年程前に絶版、②③は版元倒産により約20年前に絶版になっていて、新品が入手出来るのは内容的に関連しない作品2つと抱き合わせた全集しかないにしても。
それから巻末の「刊行履歴及び底本」には、ケイブンシャ文庫版が落ちている。また底本を旺文社文庫版としているが、注を省略している他、1行空白になっていた箇所を詰めるなどの異同がある。(以下続稿)