1頁13行で1行31字で組まれています。頁ごとに上部中央に横書きで「談怪の騨飛」と書名が下線の上に入り、そして奇数頁の左下、偶数頁の右下に、算用数字で頁付が、アッパーライン付で入っています。
章節の番号は(一)のようにゴチック体で示されていますが、「新編 綺堂怪奇名作選」が校訂を加えているのは「廿」を「二十」としていることで、前後から示すと、(二十)(廿一)〜(廿九)(三十)となっています。
原本を見ることで、「新編 綺堂怪奇名作選」にある本文中「*」を用いた仕切り(8頁や222頁)も、原本では1行なのです(2頁4、298頁11、299頁4)が、右左右左……とずらして並べるなど、原本の雰囲気をとどめようと注意が払われていることがよく分かります。
さて、本文は305頁で、余白が1頁分あり、次に奥付があります。
奥付は枠線の中がさらに5つに仕切られ、上下2つが横長で横書きの枠、中央に縦長の枠が3つ並んでいます。まず、上部に、
刷印日十月三年二正大
行發日五十月三年二正大
中央右の枠に、
著作者 岡 本 綺 堂
中央の枠に、
中央左の枠に、
そして下部の枠に横書きで、
錢五十五價正册一全
錢六金費送
とあります。
奥付の裏は見開きで小川煙村の『魔性の女』の広告、さらに岡鬼太郎『紅筆草紙』、伊藤銀月『新水滸傳』と『水滸傳物語』、岡鬼太郎『江戸紫』と『掌中新體書翰』、と鈴木書店の出版物の広告が3頁、計5頁分あります。遊紙が1枚。
裏表紙は中央に茶色で円形のロゴ「鈴木/書店/發行」があります。
ところで、表紙の兜の絵ですが、鍬形の前立物など附属品も完備した兜の絵なのですが、この小説に出てくるのは兜鉢(本体)のみだろうと思います。かつ、(五十)の176〜177頁(原本235〜236頁)にあるように「金の兜」で、描かれているような普通の兜ではありません。
それはともかく、今後、何か綺堂の特集で書影を並べる機会があれば、是非ともこの本の表紙を載せて欲しい*2と念願しています。