瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

Théophile Gautierの文庫本(4)

新潮文庫第十編『クレオパトラの一夜』(1)
 未見だけれども、先月立ち寄った図書館で見た、次の復刻セットの解説冊子によって初めて知った。
・100年前の新潮文庫創刊版 完全復刻(新潮社)

100年前の新潮文庫 創刊版 完全復刻

100年前の新潮文庫 創刊版 完全復刻

 復刻された5冊の裏表紙見返しの遊紙の、表側に貼付された紙片にある復刻版の奥付には「平成二十六年九月十八日 発行」とある。同じ紙片の左上に明朝体縦組みで「五冊セット(分売不可)/価格は輸送用保護箱に/表示してあります」とあって、定価は確認出来ていない。薄い角背の表紙の上製本で、解説冊子『100年前の新潮文庫 創刊版 完全復刻[書誌]』(平成26年9月18日発行・31頁)は並製本
新潮文庫第一編『人生論 大正三年九月十四日印  刷・大正三年九月十八日發  行・大正三年十月 八 日五版發行・定價貳拾五錢・はしがき2頁+目次3頁+214頁
 扉、本文1頁、奥付の裏の目録に「トルストイ著/相馬御風譯」とある。
新潮文庫第二編『若きヱルテルの悲み 大正三年九月十四日印刷・大正三年九月十八日發行・定價貳拾五錢・解題(1頁)+205頁
 標題は扉と本文1頁に拠る。背表紙と奥付の裏の目録には「ヱルテルの悲み」とある。扉と本文1頁に「ギヨオテ作/秦 豐吉譯」奥付の裏の目録には「ゲヱテ作/秦豐吉譯」とある。
新潮文庫第六編『はつ戀 大正三年九月十四日印刷・大正三年九月十八日發行・定價貳拾五錢・解題(1頁)+202頁
 標題は背表紙と扉と奥付の裏の目録に拠る。本文1頁には「初  戀」とある。扉に「ツルゲーネフ作/生田春月譯」本文1頁に「ツルゲネエフ作/生田春月譯」奥付裏の目録2頁めに「ツルゲエネフ作/生田春月譯」とある。
新潮文庫第二十三編『人形の家 大正三年十二月十二日印刷・大正三年十二月十五日發行・定價貳拾五錢・解題(1頁)+212頁
 扉と本文1頁に「イブセン著/中村吉藏譯」とある。奥付裏の目録「■次 目 庫 文 潮 新■」には「23 ■イブセン 人 形 の 家(全) 中村吉藏譯」とある。
新潮文庫第二十六編『ロメオとジュリエット 大正四年一月三日印刷・大正四年一月七日發行・定價貳拾五錢・序4頁+201頁
 扉と本文5頁に「シエークスピア作/久米正雄譯」とある。
 さて『クレオパトラの一夜』については、差当り奥付の裏の目録に見えるのを拾って置こう。まづ目録について見て置く。
 第一編・第二編・第六編の目録は3頁で共通、見開きの「■新潮文庫 第一期刊行 壹百册■」で1頁めに「第四」まで、2頁めに「第十」までを2行(1行33字)の紹介文とともに掲載するが『クレオパトラの一夜』は見えない。3頁めは「類書譯飜版出社潮新」7点7冊。
 第二十三編は目録9頁、第二十六編は5頁で、「■次 目 庫 文 潮 新■」が1頁め「5」まで、2頁め「11」まで、3頁め「17」までで共通、第二十三編には「24」までの4頁めがあるが第二十六編の4頁めは「■庫 文 著 名 代 近■」8点8冊で第二十三編の7頁め。第二十三編の5頁めは「■庫 文 潮 新 の 刊 近■」で番号は入っていないが第二十五編「トルストイ性 慾 論相馬御風譯」と第二十六編「〈シエークス ピ ヤロメオとヂユエット久米正雄」でそれぞれ6行(1行34字)の紹介文。6頁めは「集選作名的表代」の目録で「第五」まで5点5冊、第二十六編の5頁めは「第七」まで6点7冊で「第四」と「第五」の順序が入れ替わっている。第二十三編の8頁めは「▲最近出版書===新潮社藏版▼」4点4冊、9頁めは「潮 新/號 年 新」の細目。
 第一編・第二編・第六編の「第十」は「普 佛 戰 話」で「ド オ デ エ作/後 藤 末 雄譯」とあったが、第二十三編と第二十六編では「11」になっており2行の紹介文も(第一から第七が小異である*1のに比して)大きく異なっている。そして「10■ゴーチエ クレオパトラの一夜(全) 久米正雄譯」となっており、

そは妖魔の如く美しき女王の戀、燦爛と て孔雀の翅の如く、熱烈熱帶の/陽の如き戀の物語也。文章の艷麗と空想の靈怪を以て鳴る作者の最傑作。

との紹介文が添えられる。なお、上に引いた第二十三編には脱字があるが、第二十六編には「し」がある。(以下続稿)

*1:第八と第九は続刊なので紹介文はない。