瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

鎌倉の案内書(02)

 昨日の続きで『鎌倉(楽楽 関東…⑤)』について。
 【表紙C】(2011年2月15日初版印刷/2011年3月1日初版発行)は【表紙B】の改訂2版(改訂2版2010年4月1日)に非常に近い。「企画・編集/JTBパブリッシング企画出版部第一編集部」は改訂2版に同じ。
 全く違うのは表紙くらいなものである。奥付を見るに【表紙B】は初版「表紙写真/建長寺鐘楼とシャガ(表紙)、妙本寺祖師堂の屋根(撮影/原田寛)」改訂2版「表紙写真/建長寺鐘とシャガ(表紙) 妙本寺祖師堂の屋根(撮影/原田寛)」とあった(写真は同じ。妙本寺は裏表紙)のが、【表紙C】の方は「表紙写真/鶴岡八幡宮裏表紙/報国寺」と変わっている。また1頁(頁付なし)の扉も【表紙B】が表紙写真を淡い紫の単色で印刷しているが、【表紙C】は文字とカエルだけである。
 中身は、ほぼそっくりそのままである。それは2〜3頁の目次を見てもよく分かる。「楽楽」のロゴが変わった他は、2箇所だけ、「鎌倉宮周辺……58」→「西御門・二階堂……58」/「北鎌倉の見どころ……82」→「北鎌倉の寺……82」が変わっているのみである。
 そこでまず58〜61頁を比較してみるに、【表紙B】改訂2版では58頁見出しに次いで「悲劇の歴史を今に伝える鎌倉宮名庭の古刹・瑞泉寺がみどころ」とあり、続くリード文にも「……。悲劇の皇子・護良親王を祀る鎌倉宮や、……」とあったのが、この【表紙C】では「日本三天神の一つ荏柄天神社と名庭の古刹・瑞泉寺がみどころ」となっており、続くリード文も「……源頼朝墓やウメで知られる荏柄天神社、……」と書き換えられている(他は一致)。61頁下にあった「幽玄な美の世界が広がる鎌倉薪能鎌倉宮で毎年秋に開催」というCOLUMNが60頁下に若干の書き換え(「2009年に第51回」→「2010年に第52回」)があるのみでそのまま収録され(61頁下には新たに店が2つ紹介されている)、そしてもともと60頁下にあった「鎌倉宮」の項は削除されているのである。
 158〜159頁「INDEX」に【表紙B】改訂2版では「鎌倉宮………………………p60・96」とあった(158頁左)のも【表紙C】ではなくなっている。ちなみに96頁は「ご利益を授かる/鎌倉のお守り」という記事で、8つのお守りが紹介されているが、【表紙B】改訂2版ではその1番め(左の1番上)に「鎌倉宮獅子頭」が紹介されていたのが、【表紙C】では「鶴岡八幡宮/鳩守」に差し替えられている。しかし2番め(左の2番上)がもともと「鶴岡八幡宮/折り鶴守り」であったので、鶴岡八幡宮のがダブってしまっている。
 18〜23頁の見開き3面に「ココへ行きたい! 楽楽解決! モデルルート…‥1(〜3)」が紹介されているが、20〜21頁「2」が「美しい庭と歴史に触れる/二階堂から金沢街道へ/古都情緒を満喫する」となっている。源頼朝墓から浄妙寺までで、十二所までは行かないので光触寺は出ていないのだが、ここでも【表紙B】改訂2版では「→荏柄天神社→鎌倉宮瑞泉寺→」とルートに入っていたのに、【表紙C】では「→荏柄天神社→瑞泉寺→」で、通り道なのに横を素通りする恰好になっているのである。21頁にあった簡単な「鎌倉宮」の紹介も削除され、その分抹茶の写真が増えている。
 地図にはさすがに「鎌倉宮」を削除する訳に行かないので、図の範囲に含まれれば載っているがルートに含まれることはない*1。巻末折込の「楽楽持ち歩きマップ 鎌倉」は両面カラー印刷で、【表紙B】と【表紙C】で収録されている図は同じで裏が全面「鎌倉市街図」、表に「鎌倉散策マップ」として5つのコースが紹介されており、点線で書き入れられた散策ルートも後述する1箇所を除いて全く同じなのだが、またしても【表紙B】の「鶴岡八幡宮鎌倉宮瑞泉寺コース」が【表紙C】では「鶴岡八幡宮瑞泉寺・杉本寺コース」に改められている。このコースは中途の「源頼朝墓⑤」から「浄妙寺」までは先に見た「ココへ行きたい! 楽楽解決! モデルルート…‥2」にほぼ重なる(「旧華頂宮邸」に寄っていないだけ)が、【表紙B】では「鎌倉宮⑦」とルートに入っていたのが【表紙C】では省かれており、【表紙C】でコースの点線が削除されているのは実に鎌倉宮の境内だけなのである。しかもその先の「瑞泉寺」への往復に鎌倉宮の参道(お宮通り)と脇を通りながら立ち入らないのだから、この扱いの異様さがいよいよ際立って見える。ちなみに【表紙B】では以下「⑧瑞泉寺/⑨杉本寺/⑩報国寺/⑪浄妙寺/⑫宝戒寺*2小町通り⑬」と続くが、【表紙C】はなぜか「⑦瑞泉寺/⑧杉本寺/⑨報国寺/⑩浄妙寺/⑫宝戒寺/小町通り⑬」で、⑪が欠番になっている。
 この問題に深入りするつもりはないので、JTBの他のガイドブックや他社のガイドブックでの扱いまで比較しようとは思わない。もし事情が分かる人がいて書いても構わないようなことなら他に発表して下さい。
 もう1つの「北鎌倉の見どころ」→「北鎌倉の寺」の変更の方だが、本文には別にこのような見出しがある訳ではなく、目次のみの見出しの変更である。本文も見たところ微修正があるのみで、要するに「見どころ」といっても「寺」の紹介(82〜84頁)だけなので内容に即して変えたもののようである。
 他には各寺社のDETAが(交)(料)(時)(P)の順だった(交通・料金・時間・Parking)のが、(交)(時)(料)(P)に変わっているのが気になった。
 それ以外に詳細に比較する気力はないので、前回検討した「鎌倉のおいしい名店」を比べたくらいだが店は一致しているし、新版のように見せているけれども内実は【表紙B】改訂2版の改訂版というべきである。そして、むしろ【表紙B】改訂2版の方が【表紙B】初版のただの改訂版というより大幅に編成を変えての改版なのだから、この新版(改版)やら改訂版というのも、比較をしてみないことには変わっているのかいないのか、分からないものなのである。(以下続稿)
【追記】投稿直後ぱらぱらとめくってみると、90〜91頁「Hiking……➌古刹を結んでたどる鎌倉ハイキングの人気コース/天園ハイキング」に「⑧鎌倉宮」が含まれているのが目に入った。【表紙C】も【表紙B】改訂2版そのまま(初版は76〜77頁)である。尤も通過ポイントの扱いで、鎌倉宮に立ち入った案内は(他の通過ポイントと同様)ない。……という訳で、【表紙C】でも地図の他、60頁の薪能紹介のコラムと90〜91頁のハイキングコース紹介で、鎌倉宮の名は本文にとどまっている。

*1:誤認。【追記】参照。

*2:この⑫の位置が初版と改訂2版で違う。よく見ると店など記載に出入りがある。