瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

美内すずえ『ガラスの仮面』(16)

 文庫版第4巻を借りてきたので、その辺りの単行本のメモと対照して見る。
・単行本第7巻30頁3コマめ、フジナガホールでの姫川亜弓主演の舞台「王子と乞食」の、侍従長の台詞に「ああ なげかわしい/王子さまは気がちがわれてしまった………」とあるが、文庫版第4巻202頁も同じである。
・単行本第7巻32頁文庫版第4巻204頁)1コマめ、月影先生の入院している病院の表示「第2病棟」「第一病棟」と、算用数字と漢数字の不統一(手書き)。
・単行本第7巻87頁文庫版第4巻259頁)、マヤは東洋劇場の舞台「嵐が丘」のキャサリン役のオーディションを受けに来て応接室に通される。候補は91頁文庫版263頁)5コマめによると「田中圭子 14歳」と「絵川由紀 16歳」そして「北島マヤ 15歳」なのだが、この初めて登場した室内では、他の2人は既にソファに腰掛けて台本に目を通している。そして室内にはもう1人、「ヒースクリフの少年役を演じることになった真島良くん」もいる(89頁)。そしていよいよ部屋を出て演出家や出演者たちと顔合わせをするのだが、90頁文庫版262頁)6コマめ、候補たちが出て行って「シン…」となった室内、テーブルの上に灰皿があって、煙が上がっている。……室内には未成年が4人いただけだと思うのだが、誰が吸っていたのだろう? 或いは、当時の喫煙状況を踏まえて、応接間のテーブルの上には灰皿があって、そこには当然紫煙が上がっているものとして、何となく描いてしまったのだろうか。
・単行本第7巻141頁2コマめ、桜小路君を相手にキャサリンの練習をするところ、「ねえヒースクリフ あんた本当はお父さんはシナの皇帝で/お母さんはインドの女王さまでとってもお金持ちなの」とあるが、文庫版第5巻7頁も同じである。この台詞はオーディションのときに、102頁文庫版第4巻274頁)2コマめで田中圭子が、4コマめで絵川由紀が、103頁6コマめでマヤがやっている。こっちでは3人とも「ねえ」がなく、またマヤは棒読みで「お金持ちなの」となっていたのが異なる。単行本第8巻10頁文庫版第5巻60頁)3〜4コマめも同じ台詞、3コマめに「ねえヒースクリフ」で4コマめに残り。――ここは別に注意する必要もなかったのだが、或いは今後地名が書き換えられるかも知れないと思って、注意して置くのである。変えろとは思っていない。
・単行本第7巻171頁6コマめ、

ヒンドリー:「こいつ 馬泥棒め!」
ヒースクリフ(真島良):「ぼくの馬がびっこになったのでちょっと借りようとしただけだよ!」


・単行本第7巻133頁7コマめは同じ場面の稽古で、ヒンドリーの台詞が「こいつ 馬泥棒め!」と「!」が多いだけで一致しているが、文庫版第5巻37頁・文庫版第4巻305頁では「びっこ」が「だめ」に改められている。
・単行本第8巻84頁文庫版第5巻134頁)5コマめ、マヤの人形の真似を見て洋風人形店の女性店員が「ヒソヒソ」と次のような会話をしている。

店員A:ヒソ「なにしてるの? あの子 さっきから…」
店員B:ヒソ「ここがおかしいんじゃない?/おまわりさん呼んだほうがいいかしら?」
マヤ:人形のポーズのまま驚き顔を赤くする


 店員Bは頭を指差しながら言っている。ここらへんは「気が違う」とともに線引きの内側なのだろう。しかしこういう表現は今後なくなって行くのだろう。たぶん。