瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

七人坊主(31)

 143頁「第1図 末吉村の小地名」から、12月2日付(29)に示した小岩戸ヶ鼻から藍ヶ江港までの地名を拾って置こう。

小岩 マツリド オシジノハナ 平根ガハナ 上タン石 高石浦


 「小岩」は下が切れてしまったらしい。『八丈実記』と対照するに「コミノ川」は高石浦の辺りなのだが、この図には記載されていない。
 「東山」という名称もなく、295.1mの三角点のある辺りに「長佐山」、そして中之郷の集落寄りの等高線によると290m超の辺りに「トウサ山」とある。
 『八丈島の民話』に見える「フドウの沢/六ッパが峠」は見当たらない。
 「ハテイの川」も中之郷には見当たらないが、これは11月30日付(27)及び12月1日付(28)に述べたように、末吉村の地名なのではないか、という気がしている。
 さて、末吉村の境域を見るに、洞輪沢集落の北西にある谷に「パチイの川」とある。これが「ハテイの川」なのではないか、と思う。
 本文では個々の地名について、特に説明はなされていない。全体的な特徴として、142頁12行め「山林原野の面積が広いにもかかわらず、地名としては比較的少ない」のだが、15〜16行め「また、その多くが山稜・尾根についての名称でなく、沢・川という低凹地について呼称されていること」が指摘され、32〜33行め「また、/川・沢の名称は地域名であると共に、その水流のみをも指示しているのである。」との解説がある。そして、145頁3〜5行めに以下の記述がある。

……。なお、末吉でカワと/いうのは水の湧く場所をさし、「八丈島誌」水道篇によれば26カ所の湧水地とその名称が記されて/いるが、その名称は地名としては洞輪沢の名古ノ川、台ケ原の三合田のみしか現れてこなかった。*1


 ここの「地名としては」というのは、今回の「ききとり」調査では出てこなかったという意味なのだと思うが、「ハテイの川」も「カワ」なのだから、末吉の湧水地「カワ」を26箇所も挙げた『八丈島誌』水道篇に出ている可能性がある。いや、ここでは26箇所中2箇所しか「ききとり」では出て来なかったような書き振りなのだが、念の為、確認はして置こうと思う。(以下続稿)

*1:以下、6行めの括弧内に「三合田」についての補足があるが省略。