瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

七人坊主(35)

 「朝日新聞」の縮刷版を見て行くと、事故発生の前日にも八丈島に関する記事が出ていた。「七人坊主」とは関係ないが、ついでに引用して置く。第23983号・昭和27年11月18日(火曜日)夕刊(三)面10段め、見出しは「“七島熱”続発八丈、三宅島」。年齢表示の処理は昨日引いた「毎日新聞」に同じ。

十八日朝、八丈支庁から東京都衛/生局に入った電報によると、“七/島熱”がまたまた発生したとい/う。十七日現在の患者数は中ノ郷/村農大■■次さん(46)ら八丈で二/人、三宅で五人の計七人だが、な/お続発の勢を示していると伝えら/れた。


 「七島熱」というのは伊豆諸島(伊豆七島)で発生した恙虫を媒介とする伝染病で、この頃学会でも取り上げられている。すなわちCiNiiで検索するに「衞生動物」第3卷第3・4號(昭和27年12月25日発行・日本衞生動物学会)の「第4囘大會講演要旨」に掲載される佐々学・林滋生・加納六郎・熊田信夫「伊豆諸島の恙虫及びその七島熱との関係についての疫学的考察」によると、昭和26年(1951)は12月が流行の最盛期で、八丈島がその中心だった。
 秋から初冬にかけて発生するタテツツガムシが媒介者であることはこの佐々氏らの調査で判明していたが、ちょうど11月になって前年に続き「またまた」流行時期を迎えていた訳である。
 この記事が出た翌日の、第23984号・昭和27年11月19日(水曜日)夕刊(三)面9〜10段めに、事故の第一報が載る。「人夫五名生埋め」と題し次の行にゴシック体で「八丈島がけ崩れ」との副題がある。

警視庁への報告によると十九日朝/八時半ごろ東京都八丈島中ノ郷/村東山地内でガケ崩れのため林/道工事中の人夫六名が生埋めとな/り、一名ははい出して助かった。/八丈島地区署では地元の消防団と(以上9段め)協力、救出をつづけているが、ア/グネス台風で地盤がゆるんでいた/ものらしい。


 この記事では「東山」となっている。(以下続稿)