瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張「氷雨」(2)

 昨日の続き。――DVDの箱には、

現代日本の構造的汚職の原型を描いた、松本清張原作、脚本共作の社会派ドラマ。

とあるのだがそのすぐ下に、

〔注〕このドラマは松本清張の短編小説「氷雨」(昭和33年)とは異なるオリジナル脚本との/説もあります。脚本共作者・西川清之氏も既に他界しているため、現在では解明する術が/ありません。ご了承ください。

とある。加賀美アナウンサーは前説で00:00:18〜23「今日は 松本清張原作の テレビドラマ 「氷雨」を 御覧いただきます」と言い、また00:00:57〜01:02「「氷雨」は 汚職事件を取り上げたドラマですけれども 脚本の段階から関わって下さいました」と言っている。00:11:05〜12:20オープニングクレジットはまずタイトル、次に11:12〜18「共作/松本清張/西川清之」と出る。そして「出演」*1として17名、「装置」と「演出」各1名が表示される。
 ところで、タイトルの「氷雨」だが、自殺前日に岡野豊雄経理課長(西村晃)が岸辺経理部長*2久米明)の車で送られて帰宅するシーン(00:18:04〜53)、最初は雨が降っていないように見えるが、途中から(00:18:17〜)はっきりと雨の中、濡れた舗装道路を走行していることが分かる。これが“氷雨”なのであろう。岡野家に入る2人ともコートを着ていて(00:19:00〜43)季節は冬のようだ。茂子未亡人が働きに出るのは前回確認したように履歴書からして「昭和三十四年九月」なので、事件があって夫が自殺してから半年程経過しているのである。
 それにしても、この「説」がどこから出ているのか、少しヒントが欲しいところだ。
 それから、パッケージには「NHKアーカイブス/ドラマ名作選集」というシリーズ名があるのみだが、ディスクには「第1期/テレビ草創期篇〜モノクロの時代〜」とある。これは、分売(\3,800)もされたが、この題でセット販売もされたからである。

 ところで、テレビドラマデータベースドラマ詳細データには放送当日の朝日新聞の紹介記事と雑誌「テレビドラマ」に掲載された批評が転載されていて、参考になる。
 なお、このテレビドラマデータベースによると昭和36年(1961)5月22日20時30分から21時までのTBS「ナショナルゴールデンアワー」で、「松本清張シリーズ・黒い断層」の第45回として「氷雨」が放映されている。主な出演は風見章子、野川美子、桜緋紗子、旭輝子、広岡三栄子、深見泰三。原作は松本清張Wikipediaの「松本清張原作のテレビドラマ一覧」にも原作は「氷雨」となっている。当時のTV放送がどのくらいCMを挟んでいたのか知らないが、30分番組だからNHK版の1/3ほどの長さである。NHK版の方はNHKの番組公開ライブラリー、それから横浜の放送ライブラリーでも視聴出来るが、このTBS版の方は後者でも公開されていない。(以下続稿)

*1:「出」の字は上が「山」で下が「々」という異体字。役名は出ない。

*2:00:01:10に映る「キヤスト」、01:18:18〜21の「配役」による。