瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

太宰治『人間失格』の文庫本(14)

・角川文庫(10)
 改版三十二版について。次に本体。
 本体の表紙は今の角川文庫とは違う、黄土色の網目を漉き混んだ用紙で、紫陽花等の装幀。
 アート紙のモノクロ口絵があり、キャプションは明朝体。表は「昭和23年「人間失格」執筆のころ」横組み。裏は上左に「「人間失格」初版本/(昭和二十三年・筑摩書房刊)」縦組み、下に「「人間失格」草稿」横組み。これは今手許にないので比較出来ないが改版五十四版と同じ(ようだ)。
 1頁(頁付なし)扉もやはり現在の形式ではなく双郭の中に、上部に「人 間 失 格・桜 桃/他四篇/太 宰  治」中央下に鳳凰のマーク、その下に「角川文庫/28」。
 扉裏(頁付なし)の左下に「本書は著作権継承者の了解を得て、現代表記法により、/原文を新字・新かなづかいにしたほか、漢字の一部をひ/らがなに改めた。            (編集部)」とある。3頁「目次」、4頁(頁付なし)は「桜桃」冒頭部の影印「櫻桃/太宰治//われ、山にむかひて、目を擧ぐ。/―詩篇、第百二十一」。
 5頁「人間失格」中扉はなくいきなり本文。1頁18行、1行43字。125頁まで。以下「竹青」126〜142頁、「苦悩の年鑑」143〜155頁、末尾に(昭和二十一年一月二十九日)、「トカトントン」156〜174頁、「ヴィヨンの妻」175〜208頁、「桜桃」209〜217頁。
 218〜222頁「注釈」で、作品ごとにまとめられている。上に半角漢数字で頁を示し、*を附して列挙していく形式。同じ頁に複数でも*。「人間失格」20「竹青」9「苦悩の年鑑」8「トカトントン」7「ヴィヨンの妻」5「桜桃」1、の項目数は改版五十四版に同じ。
 223〜247頁「解説」はまず檀一雄太宰治――人と文学」が231頁まで、次に磯田光一「作品解説」232〜238頁、最後に河盛好蔵「滅亡の民」239〜247頁、末尾に(昭和二十三年九月号『改造』)とある。
 248〜250頁「主要参考文献」は末尾に(小野才八郎編)とある。一番古いのは最初に挙がる「山 崎 富 栄 愛は死と共に(石狩書房、昭和二三年九月)」で、一番新しいのは「相 馬 正 一 若き日の太宰治筑摩書房、昭和四三年三月)」と最後に挙がる雑誌「「太宰治研究」(審美社、昭和三七年一〇月第一号〜昭和四三年三月第八号)」である。これは改版五十四版に同じ。
 251〜259頁「年譜」2段組、1段21行、1行22字(見出し行を除く)で末尾にやはり(小野才八郎編)とある。
 260頁は作者の略歴。その次に奥付。改版五十四の奥付について角川文庫7501と比較しつつ6月1日付(03)に記述したが、この改版三十二版はそれ以前の形式である。10月15日付「太宰治『女生徒』の文庫本(4)」で紹介した、角川文庫863『女生徒』改版二十六版は現在の形式になっており、この昭和54年(1979)5月から昭和55年(1980)5月の間に、本体表紙の用紙を変えるなど、現在に通じる変更が行われているのである。裏が「角川文庫発刊に際して」、最後に「角川文庫目録 新刊」で3段組、上段「五三年十二月刊」19点21冊、中段「五四年一月刊」8点8冊と「二月刊」8点8冊、下段「映画・TV化作品」11点13冊でキー局と公開・放映時期が附記されている。下部に小さく横組みで「(S―1)    重版  現代語訳付「古事記」中村啓信校訂    1979.3.」とある。その裏、「角川文庫 最新刊」9点9冊、匡郭の下辺の下右寄せに(S―2)の頁付。