瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

太宰治『女生徒』の文庫本(6)

・角川文庫15707

女生徒 (角川文庫)

女生徒 (角川文庫)

【改版初版】昭和二十九年十月二十日初版発行・平成二十一年五月二十五日改版初版発行・定価438円・279頁。
【改版四版】昭和二十九年十月二十日初版発行・平成二十一年五月二十五日改版初版発行・平成二十一年十二月五日改版四版発行・定価438円。
 カバーは同じ*1。本体も同じか。奥付は、改版四版の日付が追加されている他、初版「製本――BBC」が四版「製本――本間製本」になっているのみ。
 以下、角川文庫863【改版五十七刷】と比較しつつ記述してみたい。
 カバー裏表紙折返し、横組みで「角川文庫|太宰 治の本||」として10点を挙げる。角川文庫863【改版五十七刷】との違いは5つめと6つめ「人間失格・桜桃/グッド・バイ」だったのが「人間失格ヴィヨンの妻」となっていることで、前者については6月24日付「太宰治『人間失格』の文庫本(05)」で既に述べた。後者についてはいづれ取り上げるつもりである。
 カバー裏表紙、紹介文、ほぼ全面的に書き換えられている。
 口絵はない。
 1頁(頁付なし)扉、3頁(頁付なし)「女生徒 目 次」の扉、4〜5頁、角川文庫863【改版五十七刷】では本文と同じ組み方で「饗応夫人」までが1頁めに収まっていたが、角川文庫15707では見開きに大きな活字でゆったり組まれていて1頁めは「十二月八日」まで。比較しての違いは「解説」の「作品解説」が「小山 清」から「市川拓司」に変わっている。7頁から本文、250頁まで。1頁17行、1行37字。251〜253頁「注釈」で項目数は同じ、ルビが大幅に増やされている。1頁19行、1行41字。ここで角川文庫863【改版五十七刷】が「八九*ボワリイ夫人」の「ワ」に濁点を打っていたのが、「一〇二 *ボヴァリイ夫人」と表記を改めていることが分かる。254〜268頁「解説」は254頁2行め〜262頁の磯田光一太宰治小伝」、最後に(写真提供/日本近代文学館)が追加されている。263〜268頁の市川拓司「作品解説」は市川氏の個人的なエッセイと云うべきもので、一応作品の印象を述べてはいるが、小山氏「解説」がまず「収録作品の掲載紙と、発表年月」を示し、以下、これら「女性の独白体の形式による作品」の印象や、書かれた当時の太宰の状況について「燈籠」を中心として述べていたのに比べると、市川氏に興味も関心もない人間にとっては少々つらい内容である。259〜279頁「年譜」で末尾に(小野才八郎編)、2段組で1段19行、1行20字、見出しも同じ大きさの活字。裏は末尾に(編集部)とある、『太宰治全集』(筑摩書房)を底本としたことと「不適切と思われる表現」についての断り書。その次が奥付、裏が角川源義「角川文庫発刊に際して」、最後に「角川文庫ベストセラー」1頁に7点で6頁、角川文庫863【改版五十七刷】にあったものとは全く重なっていない。(以下続稿)

*1:2017年11月12日追記】現在、セーラー服の女生徒のイラストになっているが、当初は、現在でもなか見!検索で閲覧出来る改版初版に掛かっている梅千代の写真を使用したカバー表紙だった(と思う)。私は別に映画「人間失格」公開に際して角川文庫の太宰治作品10冊に掛けられた生田斗真のカバーの掛かった改版初版を見ている。カバー裏表紙折返しは2012年6月24日付「太宰治人間失格』の文庫本(05)」、カバー表紙折返しは2012年6月25日付「太宰治『走れメロス』の文庫本(06)」に紹介した角川文庫14732『人間失格』改版十四版のカバーに同じ。