・角川文庫15707
- 作者: 太宰治,梅佳代
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/05/23
- メディア: 文庫
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【改版四版】昭和二十九年十月二十日初版発行・平成二十一年五月二十五日改版初版発行・平成二十一年十二月五日改版四版発行・定価438円。
カバーは同じ*1。本体も同じか。奥付は、改版四版の日付が追加されている他、初版「製本――BBC」が四版「製本――本間製本」になっているのみ。
以下、角川文庫863【改版五十七刷】と比較しつつ記述してみたい。
カバー裏表紙折返し、横組みで「角川文庫|太宰 治の本||」として10点を挙げる。角川文庫863【改版五十七刷】との違いは5つめと6つめ「人間失格・桜桃/グッド・バイ」だったのが「人間失格/ヴィヨンの妻」となっていることで、前者については6月24日付「太宰治『人間失格』の文庫本(05)」で既に述べた。後者についてはいづれ取り上げるつもりである。
カバー裏表紙、紹介文、ほぼ全面的に書き換えられている。
口絵はない。
1頁(頁付なし)扉、3頁(頁付なし)「女生徒 目 次」の扉、4〜5頁、角川文庫863【改版五十七刷】では本文と同じ組み方で「饗応夫人」までが1頁めに収まっていたが、角川文庫15707では見開きに大きな活字でゆったり組まれていて1頁めは「十二月八日」まで。比較しての違いは「解説」の「作品解説」が「小山 清」から「市川拓司」に変わっている。7頁から本文、250頁まで。1頁17行、1行37字。251〜253頁「注釈」で項目数は同じ、ルビが大幅に増やされている。1頁19行、1行41字。ここで角川文庫863【改版五十七刷】が「八九*ボワリイ夫人」の「ワ」に濁点を打っていたのが、「一〇二 *ボヴァリイ夫人」と表記を改めていることが分かる。254〜268頁「解説」は254頁2行め〜262頁の磯田光一「太宰治小伝」、最後に(写真提供/日本近代文学館)が追加されている。263〜268頁の市川拓司「作品解説」は市川氏の個人的なエッセイと云うべきもので、一応作品の印象を述べてはいるが、小山氏「解説」がまず「収録作品の掲載紙と、発表年月」を示し、以下、これら「女性の独白体の形式による作品」の印象や、書かれた当時の太宰の状況について「燈籠」を中心として述べていたのに比べると、市川氏に興味も関心もない人間にとっては少々つらい内容である。259〜279頁「年譜」で末尾に(小野才八郎編)、2段組で1段19行、1行20字、見出しも同じ大きさの活字。裏は末尾に(編集部)とある、『太宰治全集』(筑摩書房)を底本としたことと「不適切と思われる表現」についての断り書。その次が奥付、裏が角川源義「角川文庫発刊に際して」、最後に「角川文庫ベストセラー」1頁に7点で6頁、角川文庫863【改版五十七刷】にあったものとは全く重なっていない。(以下続稿)