瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

太宰治『女生徒』の文庫本(5)

・角川文庫863(5)
 10月15日付(4)の続き。
 改版四十五版・改版五十一版・改版五十二版・改版五十七版の異同について。
 まず扉の前にあるアート紙の口絵だが、改版四十五版〜改版五十二版の表の写真、襖を背景に和服の太宰氏が、前にした原稿用紙(?)に右手を置き、左手を頬杖を突く姿勢で下の右寄りのキャプションに「昭和23年ごろ(田村茂撮影)」とある。裏は左下に「色 紙」とキャプションがある「待ち待ちて/ことし咲/きけり/桃の花 白/と聞きつつ/花は紅なり/ 太宰治」と読める墨書。これは「葉桜と魔笛」に見える、姉が偽作した、妹宛の手紙に書き添えた「下手な短歌」である*1
 これが改版五十七版では、裏は白紙で表にカバー表紙折返しの写真の全体、和服で左手を帯に、右手は同じ高さで煙草を人差指と中指に挟む姿勢、下の右寄りに「撮影=渡辺 好章」とある。
 それから最後にある目録で、改版四十五版は「角川文庫最新刊」で1頁6点で4頁。改版五十一版・改版五十二版は「作品案内/あなたは/角川文庫クラシックスを/何冊読みましたか?」という扉があってその裏から3頁、50音順で1頁に7点、有島武郎3点、芥川龍之介7点、有吉佐和子2点、泉鏡花1点、伊藤左千夫1点、井伏鱒二2点、井上靖4点、石川淳1点。改版五十七版は「角川文庫ベストセラー」1頁に7点で4頁。
 他の本体は、一致している。すなわち、1頁(頁付なし)扉、3〜4頁「目次」、5頁から本文、222頁まで。1頁17行、1行42字。内容については他の版と比較しつつ述べるつもり。223〜225頁「注釈」ルビは殆どなく「一四二*加賀の千代女」の「松任」に「まつとう」と振られているのみ、22項目、1頁21行、1行48字。226〜240頁「解説」は226頁2行め〜234頁3行めの磯田光一太宰治小伝」、234頁4行め〜240頁の小山清「作品解説」、241〜249頁「年譜」で末尾に(小野才八郎編))、2段組で1段21行、1行22字(本文は1字下げ)、見出しは一回り大きな活字。裏は白紙でその次が奥付、裏が角川源義「角川文庫発刊に際して」。(以下続稿)

*1:角川文庫863【改版二十六版】63頁、【改版四十五版】【改版五十一版】【改版五十二版】【改版五十七版】68頁、角川文庫15707【改版初版】78頁