瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

中島敦の文庫本(28)

・角川文庫294(9)
 2012年1月12日付(01)の同年4月7日付追記に③改版三十五版の存在について報告したのであったが、その後、何もしないままであった。漸く②改版三十版と③改版三十七版と並べて見ることが出来たので、報告して置く。
 カバー表紙は③改版三十七版に同じ。
 カバー背表紙は白地で、上部に明朝体で標題が、②改版三十版「李陵・弟子・名人伝*1」であったのが「李陵・山月記弟子・名人伝*2」となっている他は、中央やや下に「中島 敦」、下部にゴシック体で「角川文庫 緑 一〇三 2340」とあるのも一致。
 カバー裏表紙は白地で、2012年1月14日付(03)にメモした②改版三十版に一致。
 カバー裏表紙折返しは2012年1月12日付(01)にメモした③改版三十七版、2012年1月14日付(03)にメモした②改版三十版及び5月21日付(25)にメモした③改版四十一版・改版四十四版に同じ。
 カバー表紙折返し、下部に③改版三十七版には2012年1月12日付(01)で確認したように「野性時代」の広告が入っているが、③改版三十五版は空白になっている。他は一致している。
 扉は組み直されているが②改版三十版に同じで標題は「李陵・弟子・名人伝」。本体の背表紙にも同じく桃色で「李陵・弟子・名人伝」とあって②改版三十刷に一致。
 以下の本体は②249頁に対し、③256頁である。
 ②改版三十版と③改版三十七版の奥付は3月29日付(24)に比較したが、匡郭・子持枠の寸法は③改版三十七版に一致する。但し標題は「李陵・弟子・名人伝*3」で、組み直されているが②改版三十版に同じである。縦組みの部分は発行日が違うのはもちろんだが、それ以外は③改版三十七版に一致する。匡郭の外、右下のISBNコード・Cコードも同版に見えるが、③改版三十五版には左下の「な 4-1」がない。
 さて、こうして見ると、③改版三十五版には当初、③森村氏のカバーではなく、②山際氏のカバーが掛かっていたのではないか、とも思える。すなわち、昭和63年(1988)8月の改版三十五版と平成元年(1989)6月の改版三十七版の間に、恐らく消費税導入前最後の増刷である改版三十六版が存する訳だが、この森村氏のカバーの、消費税抜きの分は、実はこの改版三十六版のときに用意され、この改装に際して、本体の標題も改められたのではないか、と想像するのである。私の見た改版三十五版は返本されたかしてこの新しいカバーに掛け替えて再出荷されたものではないか。尤も、これも改版三十六版を見ないことには分からない。
 「角川文庫発刊に際して」も③改版三十七版と同版のようだ。
 ③改版三十五版の目録は3段組の「角川文庫目録 現代文学(緑帯)」の(2)〜(13)頁、最後が1頁10点の「角川文庫 最新刊」(49)(50)頁で、これは②改版三十版の最後にあるものと全く同じ形式である。

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 最後になったので給湯室に茶殻を捨てて、三角コーナーをずらしたら、ゴキブリが座薬のような卵を出産中であった。慌てて残っていた熱湯を流し掛けた。

*1:ルビ「りりょう」。

*2:ルビ「りりょう」。

*3:ルビ「りりよう でし めいじんでん」。