・新潮文庫1895(7)
昨日の続きで①十版について、②二十五版と比較しつつ述べてみる。
5頁(頁付なし)中扉「李陵・山月記」。
7頁(頁付なし)「山 月 記」の扉。8頁から本文で頁付がある。16頁(12行め)まで。
17頁(頁付なし)「名 人 伝」の扉。18頁から本文、26頁(13行め)まで。②は14行めまで。
この本文及び組み方は②と同じで1頁17行、1行43字。なお、扉裏は8頁が最初に1行分空白があって16行、18頁が同じく2行分空白があって15行。
27頁(頁付なし)「弟 子」の扉。28頁から本文、66頁(16行め、但し1行空白あり)まで。②は67頁(1行め)まで。
最初に章番号「一」が8字下げ2行取り。②はこの番号の前に1行分空白。
67頁(頁付なし)「李 陵」の扉。68頁から本文、115頁(11行め、但し1行空白あり)まで。②は69頁(頁付なし)が扉で70頁から本文、119頁(9行め、但し1行空白あり)まで。
最初に章番号「一」が8字下げ2行取り、その前に1行分空白がある。②も同じ。
漢字を仮名に改めたところや送り仮名、本文の誤りを訂正した箇所があって、全体に微妙なズレがあるが、「山月記」は同じ行数で、「名人伝」は1行、「弟子」は②で冒頭に1行分空白を設けたために最後に1行だけの頁を作ってしまい、そのためその裏(68頁)が全くの白紙となってしまったのだが、行数としては①と変わりない。ところが、本文が①48頁分だったのが②50頁分になっている。
この本文異同については、行のズレなどに注意しながら若干拾ってみたのだが、とても全体に及ぼす余裕はないので、今は省略する。一例だけ挙げると、20頁11行め「‥‥威そうとして‥‥」が②二十五刷「‥‥威そうとて‥‥」*1となっているような例もあり、表記を改めたというに止まらないものもあるのである。
吉田精一「注解」は組み直されているが、①116〜129頁②120〜133頁で項目数(一四五)も行数も一致する。
瀬沼茂樹「解説」①130〜137頁、冒頭5字下げ4行取りで「解 説」とあって、末尾137頁9行めに下寄せ「瀬 沼 茂 樹」とある。②134〜141頁の冒頭は1行空白で次の行に5字下げで「解 説」、その次の行に下寄せ「瀬 沼 茂 樹」とあってもう1行分空白。従って以下の本文は組み直されているがほぼ同じ位置に配されており、末尾141頁9行めに下寄せ(昭和四十四年八月)とある。
①はここまでで137頁の裏は「文字づかいについて」である。これは②二十五版の142〜144頁「年譜」の次にあるものと全くの同文で組み方も一致するが、①十版には「六、」項めに「宛て字」「損う」にそれぞれ振仮名「あ」「そこな」があったのが②二十五版ではなくなっている。
①はその次に奥付、形式は②二十五版の目録の後にある奥付に同じ。異同は標題の下、「定価はカバーに表/示してあります。」が②二十五刷「定価180円」、その下の「新潮文庫 草77」が「新潮文庫 草77A」に、以上は上部の横組みの部分で、縦組み部分では右端「昭和四十四年 九 月二十日 発 行/昭和四十九年 七 月 十 日 十 刷」と2行だったのが、②二十五刷は1行めは一致するが2〜3行め「昭和五十三年 六 月十五日 十八刷改版/昭和五十五年 五 月二十五日 二十五刷」となっている。発行所に関する部分の最後「振 替 東 京 八 〇 八 番」が「振 替 東 京 四 ― 八 〇 八 番」になっている。この縦組みの最後の2行「乱丁・落丁本は、御面倒ですが小社通信係宛御送付/下さい。送料小社負担にてお取替えいたします。」とあったのが②二十五刷では「ご面倒」「ご送付/ください。」と改められている。下の太い横線の下の横組み、1行め「○ 印刷・二光印刷株式会社 製本・株式会社植木製本所」○の中に「二」。②二十五刷は「○ 印刷・東洋印刷株式会社 製本・有限会社加藤新栄社」○の中に「東」。2行めは組み直されているが同じ。
①十版はこの後に目録がある。まず3段組の目録が4頁、12.5×8.3cmの匡郭の中を横線(7.5cm)で3段に仕切り、1頁めの上段の初め2行取りで「日 本 文 学」ついで「 小 説(草色帯)」とあって、1段に最大17点、標題と著者名、漢数字で定価を入れる。50音順で本書は4頁め下段に16点あるうちの14点め「李陵・山月記中 島 敦 一二〇」漢数字は半角。ちなみに15〜16点めは「土 長 塚 節 二二〇/歌のわかれ中 野 重 治 二〇〇」である。その裏、最後の頁は匡郭(11.0×7.5cm)は②二十五刷の奥付の前にあったものは11.2×7.7cmと若干広くなっているが、上部0.9cmのところで仕切って「新潮文庫最新刊」と横組みで入れているのは同じ。その下に9点、著訳者名、標題、1行20字×2行の紹介文、算用数字+円の定価が入る形式は一致。
*1:ルビ「おど」は共通。