瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『坊っちゃん』の文庫本(17)

新潮文庫92(2)
 「昭和六十三年五月二十五日九十七刷」の、消費税導入後のカバーが掛かったものを見たことは、2012年2月28日付(02)の2012年3月12日付追記に何の注意もせずに追加し、2012年8月27日になって消費税導入時期(平成元年(1989)4月1日)との齟齬に気付いてその旨注記したのであったが、その後2013年6月4日に、同じ図書館の書棚にこの消費税導入後のカバーと、消費税導入前のカバーの掛かった九十七刷が並んでいるのを見て、差当たり2013年6月5日付追記に消費税導入前のカバーの掛かった九十七刷が存することだけ(あるのが当り前なのだけれども)報告して置いた。今、この2冊を並べているので、カバーについて報告して置く。
 カバー表紙同じ。
 カバー表紙折返しも同じ、「新潮カセットブック/夏目漱石のカセット/●『硝子戸の中』より/朗読=日下武史」の広告、右下に「カバー 安野光雅」。
 カバー裏表紙折返しも同じ、2012年7月26日付「夏目漱石『漾虚集』の文庫本(1)」で見た新潮文庫382『倫敦塔・幻影の盾』六十一刷にあったものに同じ。
 カバー背表紙、紫地に白抜き明朝体で上部に「坊 っ ち ゃ ん」中央やや下に著者名、下部、白く抜いて黒ゴシック体で[な 1 3]すぐ下、ゴシック体白抜きで「新潮文庫」最下部、消費税込の方は黒のゴシック体「200」に下線。消費税導入前のものは「200」のみとなっているものと思われるが、破損と分類票貼付のため見えない。
 カバー裏表紙、右上の紹介文は、組み直されているが平成二十一年五月二十五日百三十九刷に同じ。紹介文の上下に黒の横線(9.3cm)があり、下の横線の下に「ISBN4-10-101003-X C0193 \200E 定価200円」とあったのが後半が「 P200E 定価200円」と変わり定価のすぐ下に「(本体194円)」とある。その下の中央に葡萄マーク。

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 この時期の、薄汚れた本が何時まで無事に図書館の書棚に並んでいられるか。久しく誰も借り出さなかったらしい本を私が借り出して、返却して後日書棚を見るに戻っておらず、書庫にでも放り込まれたかと検索してもヒットせず、どうも処分されてしまったらしいということがあった。書庫から出してもらって借りた本が、その後、検索してもヒットしないということも、残念ながら幾度かあった。借りたのだから「利用」があったものだのに、図書館員は時代遅れの、これまで借り出されなかったことで廃棄候補選定の目を逃れていたものくらいにしか思っていないのであろうか。私が館員の目に触れる機会を作ったことで、廃棄候補選定に苦慮している館員に「こいつを廃棄してしまえば良いのだ!」と思わせてしまったのか。しかし、その中でも何の染みもない美麗な本がなくなったことには、流石に衝撃を受けた。いや、2011年3月14日付「田中英光『オリムポスの果實』(03)」及び2011年3月15日付「田中英光『オリムポスの果實』(04)」で報告した新潮文庫239『オリンポスの果実』三十九刷も綺麗な本なのだが、あれは同じ館にダブっていた(そして、何故か汚い方が残された)。ダブっている訳でもない綺麗な本がなくなってしまったのは何故だろう。