瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

遠藤周作『海と毒薬』(2)

・角川文庫1932(2)
 昨日の続きで、四十六版と五十九版の比較の続き。
 カバー背表紙、四十六版は肌色地に上部に標題、中央やや下に著者名が明朝体で、下部にゴシック体で「角川文庫 緑 二四五1260」とある。五十九版は赤みがかった肌色地で、上部にゴシック体で小さく「え|2-1」すぐ下に秀英初号明朝で標題、中央やや下に同じ字体で著者名、下部にゴシック体で「角川文庫 350」とある。
 カバー裏表紙、白地で四十六版は上部に「ISBN4-04-124501-X C0193 \260E 定価260円」とあるのみ。五十九版は左上にバーコード2つ、1つめの下1桁「9」、右上の1行めは四十六版と同じISBNコード、2行め「C0193 P350E 定価350円」定価の下に「(本体340円)」とある。中央にゴシック体縦組み10行(1行14字)の紹介文があり、これは四十六版のカバー表紙折返しにあったものと同文。以下、改行位置を四十六版「/」五十九版「|」で示した。なお四十六版は横組みのため読点が「、」ではなく「,」となっている。

日本人は、今次大戦末九州大学|で外人/捕虜を生体解剖に処すと|いう戦慄的な/非人道行為を犯し|た。「海と毒薬」はこ/の事件を作|品成立の一つのモチーフと/する|が、作者はこの異常な事件を内|面/化し、事実とはまるで異った|次元のも/とに描き出し、単なる|恥の意識ではな/く、日本人の罪|責意識を根元的に問お/うとした。


 カバー裏表紙折返し、四十六版は横組みで左上にゴシック体「角川文庫遠藤周作作品集」1行分空けて明朝体で「海と毒薬/おバカさん/ヘチマくん/闇をよぶ声/恋愛とは何か/ぐうたら生活入門/わが青春に悔いあり/狐型狸型/ぐうたら漫談集/灯のうるむ頃/天使」の11点を列挙、左に寄っていて右は空いている。五十九版は最上部中央に「角川文庫遠藤周作作品集」とあって半行分空けて、以下左右2列に「海と毒薬 おバカさん/ヘチマくん 闇をよぶ声/恋愛とは何か ぐうたら生活入門/火山 現代の快人物/古今百馬鹿 黒ん坊/ぐうたら会話集第1集 ぐうたら会話集第2集/ぐうたら会話集第3集 わが青春に悔いあり/狐型狸型 ぐうたら漫談集/灯のうるむ頃 観客席から/天使 宿敵(上)(下)」の20点21冊を列挙。下左に小さく「カバー 暁美術印刷」右下にKBマークがあるのは同じ。
 本体は扉から165頁までは一致。白紙が1頁あって奥付、子持枠の内部は一致、その下の縦組みの部分の異同は、まずそれぞれの発行日、発行者が兄から弟に、電話の市外局番(〇三)の次に五十九版には「三」が挟まっていること、「製本所――」が「大谷製本」から「千曲堂」、装幀者の次、四十六版は「落丁・乱丁本はお取替えいたします。/定価はカバーに明記してあります。」半行分空けて横転した「Printed in Japan」とあったのが、四十五版は「本書の無断複写・複製・転載を禁じます。/落丁・乱丁本はご面倒でも小社角川ブック・サービス宛に/お送りください。送料は小社負担でお取り替えいたしします。」半行分空けて1字下げ「定価はカバーに明記してあります。」となり、匡郭下辺の上右寄せに横組みで「©Printed in Japan」と入っている。匡郭下辺の下、四十六版は右寄せにカバー裏表紙と同じISBNコードとCコードが入るが、五十九版はこれに加えて、左寄せで「え 2-1」と入る。
 「角川文庫発刊に際して」は同版か。
 目録、四十六版は3段組(1段21点)の「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)」の(4)〜(9)頁に、「角川文庫 最新刊」1頁に10点の(49)(50)頁。五十九版は「角川文庫の名作/語り継がれる一冊がある」が6頁、1頁めは7点、2〜6頁めは12点ずつ。