昭和31年(1956)に遠藤周作と三浦朱門が熱海の旅館で2人で同じ幽霊を見た、という体験を、2人して書いたもので、遠藤氏・三浦氏ともに同じ体験について、昭和30年代前半に他にも書いています。まずはそれを列挙して置きましょう。
① 遠藤周作「[幽霊見参記]僕はハッキリと感じた」「文藝春秋 漫画読本」1957(昭和32)年1月号
・集英社文庫『ぐうたら社会学』183〜188頁「幽霊見参記」
・集英社文庫『ぐうたら社会学』205〜211頁「幽霊見参記」
・ちくま文庫『文藝怪談実話』12〜18頁
② 三浦朱門「[幽霊見参記]遠藤の布団の中に……」「文藝春秋 漫画読本」1957(昭和32)年1月号
・ちくま文庫『文藝怪談実話』19〜26頁
※ 遠藤周作「三つの幽霊」に一部(20〜24頁6行め途中)再録。
③「別冊週刊サンケイ」アンケート 「別冊週刊サンケイ」第6号、1957(昭和32)年7月
・ちくま文庫『文藝怪談実話』389頁18行め・390頁2〜3行め
・MF文庫ダ・ヴィンチ『私は幽霊を見た』361頁11〜13行め
④ 三浦朱門「悪い旅行」「大法輪」昭和32年7月号
・MF文庫ダ・ヴィンチ『私は幽霊を見た』120〜128頁
⑤ 遠藤周作「三つの幽霊」「オール読物」昭和33年5月
・『遠藤周作怪奇小説集』7〜28頁
・講談社文庫『怪奇小説集』5〜34頁*1
・ふしぎ文学館『蜘蛛』5〜24頁
・MF文庫ダ・ヴィンチ『私は幽霊を見た』129〜163頁
⑥ 遠藤周作「私は見た」「週刊新潮」昭和34年7月27日
・『遠藤周作怪奇小説集』73〜83頁
・講談社文庫『怪奇小説集』67〜76頁*2
・ふしぎ文学館『蜘蛛』45〜50頁
・ちくま文庫『文藝怪談実話』27〜37頁
これは、別に私が苦労して調べて揃えたのではなくて、全て東雅夫編の2冊の怪談実話アンソロジーの文庫本に再録されており、簡単に読むことが出来ます。この後に活字になったものもあるのですが、それは別に触れることにします。それから別の人物が書いているものも早くからあるのですが、これも改めて触れます。とにかく、体験直後に遠藤氏(及び三浦氏)がどのように書いているのか、気になるところがあるので比べて見ようと思ったのです。
それぞれの題に、差当り『文藝怪談実話』の「初出/底本一覧」と『私は幽霊を見た』の「【底本一覧】」、ふしぎ文学館『蜘蛛』の「初出一覧」に示されている初出を添えて置きました*3。
詳しい検討は、これら初出も確認した上でなすべきなのですが、差当り再録に拠ることにして、私の見た本を列挙して置きました。それぞれの本の詳しい紹介は追って個別に行います。また、今後別の本を見た場合、ここに追補することにして、やはり、その詳しい紹介は別に記事にすることとします。(以下続稿)