瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

『トキワ荘物語』(2)

 2014年11月28日付(1)の続き。祥伝社新書版とその底本になった翠楊社版の他に、「COM」連載の「トキワ荘物語」を核とした『トキワ荘青春物語』が、蝸牛社から3種の判型で刊行されている。版元の蝸牛社は、図書館OPACAmazonジュンク堂等のサイトで検索するに、昭和50年(1975)から平成11年(1999)12月までの出版活動が確認される。その後、蝸牛新社が平成12年(2000)1月から平成16年(2004)10月まで、蝸牛社出版物の再刊に加えて新刊も出していた。それはともかく、この蝸牛社版も『トキワ荘物語』として取り上げることにする。
・『トキワ荘青春物語』文庫判

トキワ荘青春物語

トキワ荘青春物語

・1995年12月15日第1刷・1996年2月25日第2刷・定価951円・蝸牛社・462頁*1
 B5判とA5判が昭和62年(1987)に刊行されており、稲垣高広(1968生)のブログ「藤子不二雄ファンはここにいる/koikesanの日記」の2012-08-06「『トキワ荘物語』の単行本」に、3種の判型のカバー表紙と背表紙を並べて示してある。
 私は文庫判しか見ていないので、ここに報告するのはほんの瑣事である。
 すなわち、第2刷を2冊見たのだけれども、カバーが(僅かながら)異なるだけでなく、本体も(僅かながら)異なっているのである。
 カバー裏表紙は青地、中央やや上、土星の上に周囲を白くして円盤に乗る「TOKIWASO」のイラスト。最上部右寄りに黄色の長方形(1.1×7.4cm)があって、そこに2行、1行め「ISBN4-87661-266-8 C0079 P980E」2行めは右寄せ「定価980円(本体951円)」。ここが異なっているカバー(北区本)は1行めISBNコードとCコードは一致、最後が「 \951E」、2行めは右寄せで若干位置も上で「定価951円(税別)」となっている。8月2日付「芥川龍之介「河童」(3)」にて取り上げた新潮文庫1808『河童・或阿呆の一生』のカバー裏表紙からしても、定価に(税別)と添える現行の形式よりも(本体××円)と添える形式の方が早いはずである。
 カバー表紙、青地に周囲を白くした14人の簡略な似顔が、太陽に見立てられた手塚治虫を中心に、13人は惑星のように配置されている。他に蝦蟇口・蓋のある鍋・8ミリカメラ・下駄(片方)・碁盤・テニスボールが小惑星のように浮遊している。遠景にロケット。下部の英題が私の見ているカバー(本体)本は桃色っぽいがカバー(税別)本は赤。
 カバー背表紙は赤地で 上部右側に黄色で標題、左側に桃色の横転した英題。下部にゴシック体白抜き「手塚治虫&13人」2字分空けて最下部は横並びの黒のゴシック体「蝸牛社」。
 カバー折返しは青地で文字等は何もない。
 カバーは流通時期によって掛け替えられたりするものだから、これまで別の本でもさんざん見てきたように、同じ刷に同じカバーが掛かっていなくてもおかしくないが、奇怪なのは本体の異同である。すなわち、奥付の発行日を示した2行の右、カバー(税別)本は何も刷られていないが、カバー(本体)本は中央やや右に小さく「 定価980円 」その下に「(本体951円)」とある。シールで隠したとか足したという訳ではない。そうするとこの第2刷には実は2種類の刷があることになるのである。(以下続稿)

*1:上に貼付した書影の右に「メディア: 平装-文?」とあるが、文庫判並製本である。