瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小林信彦『回想の江戸川乱歩』(7)

 既に述べたように、文春文庫版は「初出一覧」の前の見開き、4〜5頁(頁付なし)が「江戸川乱歩邸応接間の図(一九五九年頃)」で7頁(頁付なし)が中扉であったが、光文社文庫版は5頁(頁付なし)が中扉で、その次の見開き、6〜7頁(頁付なし)が「<イラストレーション>江戸川乱歩邸応接間の図 小林泰彦(一九五九年頃)*1である。
 文春文庫版と光文社文庫版は、右上に位置する題が引用したように異なっている他は一致する。すなわち、右下に明朝体で「ぼくらがしばしばお訪ねした頃の応接間の/様子を、思い出して描いてみた。(小林泰彦)」とあり、部屋の俯瞰図の周囲に手書きで説明が加えてあるが、左下に横書きで「ずい分昔のことで/ 思い出せない部分が多い/     '97.2/  ヤスヒコ」とある。
 このイラストのことは文春文庫版182〜183頁「文庫版のためのあとがき」及び光文社文庫版186〜187頁「光文社文庫版のためのあとがき」に言及されているが、異同があるので前者を引用して置こう。183頁4〜7行め、

 さて、ぼくたちが乱歩邸を再訪したのは三十一年ぶり、一九九六年十|一月末の寒い日/であった。洋間は現在はあまり使用されていないらしく、乱歩博物館|の一室のようにも/見えたが、ぼくと弟は〈往年の応接間〉を絵で再現したいと願い、ご*2|遺族の記憶も借り/て、ほぼ間違いないものを心がけた。


 光文社文庫版187頁4〜7行め(改行位置を「|」で示す)では冒頭の「さて、」が「文春文庫版のために」になっている。また、末尾に「これはまず完全だろうと思う。」が追加されている。文春文庫版刊行後、特に記憶違いを指摘する声も聞かれなかったので足したのだろう。
 単行本は3頁(頁付なし)が中扉で、4頁(頁付なし)が「もう一人の江戸川乱歩」の扉で、明朝体太字で中央上部に縦組みで題、下部に「小林信彦小林泰彦」とあってすぐ上に乗っかるように横組みで「〈対談〉」とある。単行本は「<エッセイ>」には扉はない。「半巨人の肖像」の扉は78頁(頁付なし)で題のみ。
 同じ章の扉は文庫版はともに9頁(頁付なし)で裏は白紙、文春文庫版は「対談もう一人の江戸川乱歩」、下部に「小林信彦小林泰彦」、光文社文庫版は「<対談>/もう一人の江戸川乱歩」下部に「小林信彦小林泰彦」とあって、以下の章扉も同じ体裁で下部に「小林信彦」とゴシック体もしくは明朝体で一々入れてある。(以下続稿)

*1:1行めはゴシック体細字、題は明朝体太字。

*2:光文社文庫版はこの行の読点半角。