瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小林信彦『回想の江戸川乱歩』(6)

 文春文庫版は6頁(頁付なし)に「初出一覧」があるが、単行本(メタローグ)は奥付の前(193頁の裏)、光文社文庫版は196頁の次(裏は白紙)にある。ここでまとめて記述して置こう。
 単行本は下部中央に縦組みで小さく、

初出一覧
もう一人の江戸川乱歩  語り下ろし対談         一九九四年九月
回想の江戸川乱歩Ⅰ   『ミステリマガジン』       一九六九年十月
同       Ⅱ   『決定版江戸川乱歩全集』第十六巻 一九七八〜九年*1
半巨人の肖像      『新潮』             一九七一年六月

とある。文春文庫版は全て明朝体、異同のある3行め以降を引く。やや小さく、

回想の江戸川乱歩Ⅰ   『ミステリマガジン』        一九六九年十月号
回想の江戸川乱歩Ⅱ   『決定版江戸川乱歩全集』第十六巻  一九七九年
半巨人の肖像      『新潮』              一九七一年六月号
単行本
一九九四年十月 メタローグ

とある。6行め前は半行分空いている。
 光文社文庫版は次のようになっている。

初出一覧
江戸川乱歩邸応接間の図 『回想の江戸川乱歩』(文春文庫)   一九九七年五月
もう一人の江戸川乱歩  語り下ろし対談           一九九四年九月
回想の江戸川乱歩Ⅰ   『ミステリマガジン』        一九六九年十月号
回想の江戸川乱歩Ⅱ   『決定版江戸川乱歩全集』第十六巻  一九七九年
半巨人の肖像      『新潮』              一九七一年六月号
単行本
一九九四年十月 メタローグ
一九九七年五月 文春文庫
*本書は『回想の江戸川乱歩』(文春文庫)を底本としました。


 7行めと10行めの前は半行分空けてある。初出誌や年月の高さは揃えてあるが、当ブログでは見た目の位置を揃えるのが困難なので調整しなかった。(以下続稿)

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 今の大河ドラマは、朝の連続テレビ小説とは比べ物にならないくらい評判が良いようだけれども、私は、脚本家の悪ノリと悪癖が目立つのが気になって、冷めている。――どちらも随分人数を絞って、えらく世界を狭っちょろく、ちまちま描いているように感じられるのである。
 大河ドラマ真田丸」は、真田昌幸草刈正雄)の妻(高畑淳子)を京都の公家の女と設定した時点で、実は「幸村」ではなく「信繁」だ、という史実に忠実な作り、と云う売り(?)が嘘らしく感じられて引いてしまった。信幸(大泉洋)が「大名でもない我等に」と繰り返し言って昌幸を怒らせる場面があったが、公家と姻戚と云う設定と完全に矛盾している。信濃の「大名でもない」国人領主の真田家、しかも武田家滅亡まではその配下であった訳だから、そんなところに京都の公家の女がわざわざ嫁いでくるのには、余程の理由があったとしないといけない。妻の実家が京都の公家と云うのを上方の情報を得るのに利用するのかと思いきや、当然考えられるそのような姻戚の活用は全くせずに、じゃあ完全に無視するのかと思ったら、病気の鶴松に献上する明国の薬を入手するルートとして唐突に持ち出されていた。そしてその薬について片桐且元小林隆)と高畑淳子に、何ともしょうもないコントを演じさせるのである。――結局、高畑淳子に公家の姫君のような恰好をさせてちょっと滑稽な演技をさせたかっただけなのだと思って、放送開始直後に萎えていた気分が、こうした積み重ねでどんどんドン引きさせられてしまったのである*2。この他にも、いろいろあるが、例えば、滅亡寸前の武田家の評定の方が、豊臣や北條の評定よりも人数が多かったのはどういう訳だ。別に芝居なんか上手くなくても良いから、もちろんギャラを弾まなくても良いから、ただ座っているだけで良い、それらしい見た目の人を並べて置くべきじゃあないのか。――そういえば、八王子城の扱いも正直、変だった。小田原にいて戦後に兄の氏政と切腹した城主の北條氏照が全く登場しなかったのは暫く措くとしても。
 こういった辺り、今の朝の連続テレビ小説とも似ていると思うのである。――まぁ「とと姉ちゃん」の方は、もう何か言おうと云う気持ちにもならないのだけれども。

*1:二重鍵括弧閉じは半角。

*2:7月17日追記】今日の放送を見ていたら、実は公家出身ではない、と云うことになっていた。それを周囲も知らなかったかのように描いていたが、兄弟がこの歳になるまで親元が全く問題にならなかったということがあり得るのか。秀次事件の扱い方と云い、狭い世界で小才に走っている感が否めない。