瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

加太こうじ『紙芝居昭和史』(3)

 それでは昨日の続きで、単行本・旺文社文庫版・岩波現代文庫版の本文を比較して見よう。
 なお、2014年2月19日付「赤いマント(119)」にも触れたように、岩波現代文庫版は旺文社文庫版の存在に全く触れておらず、底本についても、奥付の前の頁、下半分中央に明朝体縦組みで小さく「本書は一九七一年七月、立風書房より刊行された。」とあり、その前の頁に中央下寄せで、

 編集付記
一、口絵には、今回新たに加えたものもある。
二、巻末の住所録は、一九七一年当時のものとして再録したが、電話番号は割愛した。
三、本文中に、今日の観点からは不適当と思われる身体障害等にかかわる語句が含まれる/ が、本著作が書かれた時代性や著者が故人であることを考慮して、原文どおりとした。

とある。口絵については昨日紹介したように、新たに加えたものだけでなく、省略されたものもある。住所録は単行本刊行から33年後と云うことで、資料として住所は載せたのだろう。むしろ電話番号の方が、当時の番号のままではないのだが、使用価値もない数字の羅列には確かに資料価値もない訳だ。――この「編集付記」の前が頁付のある最後の、322頁。
 単行本は1頁18行、1行45字、章題は頁の右半分9行分を取って、3字下げ明朝体太字(四倍角)、題の下、下寄せで内容に因んだカットがある。これについては「目次」の最後、7頁7〜10行めに

口絵 鈴木勝丸加太こうじ/撮影
菊地秀行/協力 国際情報社


     装幀 玉井ヒロテル/本文カット
     加太こうじ

とあった。
 旺文社文庫版は1頁18行、1行44字。章題は5字下げでやや大きく、右に4行分、左に2行分の空白、題の下のカットは省略されている。
 岩波現代文庫版は17行、1行40字。章題は6行取り2字下げでやや大きく、題の下、下寄せで内容に因んだカットがある。なお「目次」の最後、醬頁4行め「本文カット・加太こうじ」とある。
 1つの章はさらに幾つかの節に分かれているが、節題*1は単行本・岩波現代文庫版はゴシック体1字下げ。旺文社文庫版は本文の最初の2行取りでゴシック体、1字下げで、下に1字分空白があって本文が2行。節の末尾には単行本は2行分・岩波現代文庫版は1行分の空白。旺文社文庫版は詰めている。
 以下、細目を示す。「5頁6」の如く頁と行を示した。節は最後の位置のみを示した。章の1つめの節は2行めから始まり(空白は行として勘定しない)2つめ以降の節も前の節の最後の行の次から始まっているに決まっているからである。

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紙芝居との出合い(単行本11〜21頁・旺文社文庫版11〜22頁・岩波現代文庫版1〜12頁)
 小野照崎神社(単行本〜12頁1・旺文社文庫版〜12頁18・岩波現代文庫版〜3頁3)
 『西遊記孫悟空』(単行本〜18頁14・旺文社文庫版〜19頁14・岩波現代文庫版〜9頁13)
 東京写絵業組合(単行本〜21頁12・旺文社文庫版〜22頁16・岩波現代文庫版〜12頁17)
世界経済恐慌(単行本22〜31頁18・旺文社文庫版23〜32頁5・岩波現代文庫版13〜24頁4)
黄金バット(単行本32〜45頁・旺文社文庫版33〜46頁・岩波現代文庫版25〜40頁)
 『黒バット』(単行本〜36頁13・旺文社文庫版〜36頁18・岩波現代文庫版〜30頁3)
 テキヤシステム(単行本〜42頁12・旺文社文庫版〜43頁9・岩波現代文庫版〜37頁1)
 話の日本社(単行本〜45頁8・旺文社文庫版〜46頁3・岩波現代文庫版〜40頁3)
レコードとラジオ(単行本46〜52頁・旺文社文庫版47〜53頁・岩波現代文庫版41〜47頁)
 満州事変(単行本〜48頁8・旺文社文庫版〜49頁9・岩波現代文庫版〜43頁10)
 『祖国を護れ』(単行本〜52頁2・旺文社文庫版〜53頁2・岩波現代文庫版〜47頁11)
昭和七年(単行本53〜66頁・旺文社文庫版54〜67頁・岩波現代文庫版48〜63頁)
 荒川区三河島(単行本〜60頁16・旺文社文庫版〜61頁4・岩波現代文庫版〜56頁12)
 紙芝居製作所(単行本61〜64頁2・旺文社文庫版〜64頁5・岩波現代文庫版〜60頁2)
 鈴木一郎(単行本〜66頁18・旺文社文庫版〜67頁2・岩波現代文庫版〜63頁6)

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 長くなって残りを今日中に処理することは不可能なので、まづは最初の5章を上げて置く。(以下続稿)

*1:二重鍵括弧は半角。