瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

アパートの一本杉

 2月から薬を毎日服用しているので、涙が止まらないとか鼻水が止まらない、と云った症状はほぼ出ない。目がごろごろする程度である。しかし、鼻の通りが悪いから、寝覚めが悪い。休日は午前中ぼんやりしている。出勤したら、仕事をするより仕方がないが、そうでもないとなかなかやる気にならない。休日の昼は食材の買出しや昼食の支度に片付けなど家の用事をしたりして、夕方に図書館に本の返却に行き、晩になって漸く、午前中に比べて頭が冴える、いや、冴えてはいないのだが、若干マシになる。すると、今度は寝るのが遅くなる。悪循環である。しかし最近、年のせいか、早くに目が覚める。寝覚めが悪いのに早起きである。この時期、布団にも悩まされる。1枚減らすと寒くて目が覚める。1枚重ねると何時しか肩を出してしまい、やはり寒くて目が覚める。そこで肩当をして寝ている。寝ているうちに暑くなって布団を払いのけても肩当までは脱げないから、やはり寒くて目が覚めるけれども、体調を崩すほどのダメージは受けない。しかしやはり睡眠時間は短くなる。
 古い家に住んでいて、鼠に侵入されたくらいでどうせ締め切れないから、そこまで徹底的に花粉の侵入を防ぐ対策はしていない。洗濯物も家の中には干しきれないし、ただでさえ湿度の高い家なので、外で干している。良くないのかも知れないが、とにかく目がごろごろするくらいしか目立った症状はないので、そこまで神経質にはなっていない。
 花粉症疲れの出る5月に、こんなふうに睡眠時間が短くなって、かつ身体を冷やして風邪を引き、さらに連休で生活にメリハリがなくなって、そのままだらだらと体調不良のまま連休明けに至る。鼻の穴を塞ぐように大きな瘡蓋が出来ているが、風邪で出来たのか花粉症で出来たのか。たぶん相乗効果なんだろう、小さな瘡蓋と出血は2月からずっとである。しかし花粉シーズンも終りに近付いて、次第に軽くなるどころか、体調の方は最悪である。尤も、高2のときもそうだったが、寝込むほど体調を崩すことは、滅多にない。
 原因であるが、実家を出てしばらく住んだアパートの玄関脇にあった共用の洗濯機の傍に、杉の木が生えていたのである。粉や実が洗濯機の辺りに転がっていたのは日頃から見ていたのだが、症状が出るまでは大して気にしていなかったのである。そりゃ、毎日花粉を練り込んだみたいな服を着て、出入りにも花粉を浴びていれば覿面である。ところがこの杉の木、アパートに出入りしていたペンキ屋が、出入りといってもちょっとしたTakariみたいな感じで、金に困ると勝手に屋根をいい加減に塗って――本当に、見えないことを良いことに、虎刈りみたいに滅茶苦茶に塗っているのだが、それで何万円とか吹っ掛けて、家主は私たち店子には愚痴をこぼしていたけれども本人にはよう言わぬらしく、求めに応じて払っていたらしいのだが、あるとき、何を思ったのか、このペンキ屋がその杉を伐ってしまったのである。
 実は、その少し前に花粉症を発症していた私は、花粉症のことなど話題にしつつ、その杉をどうするつもりなのか家主に聞いたことがあった。――詳しくは忘れてしまったが、とにかくずっとあるからそのままにして置くのだ、と云ったような返事で、周囲に他に花粉症の人がいなかったのか、その点は特に問題にしていないようであった。だからここにいる限りは仕方がないのか、と思っていた矢先だったから全く有難く、家主は何の相談もなしに勝手に杉を伐ってしまったことを例によって愚痴っていたが、私などはそのペンキ屋が為した唯一の善行だと思ったものである。なんで伐ったのか、伐られた10m近い杉はどうなったのか、それは全く分からない。もうそのアパートを出て10年近くなるが、未だに私の住んでいた当時のままの、酷い塗りの屋根のままである。すなわち、ペンキ屋はその後、出入りしていないらしい。流石に顔を出しにくくなったのか、家主が歩行困難になったため(預金の出納に第三者が絡むことになるから)Takariにくくなったためか、それとも他の地方に住んでいる息子のところに移ったのか、死んでしまったのか。
 しかし、杉の木はなくなっても花粉症は私に棲み着いて、根を張ってしまった。
 何とか根治させないことには、2月半ばから3月・4月そして5月半ばまで、1年の1/4をぼんやり過ごすことになってしまう。沖縄に移住すべきなのか。いっそ砂漠で暮らそうか。
 しかし、連休に体調不良になることを、喉元過ぎればじきに忘れる、で今年もまた繰り返して、少々真剣に考えないと、と思い始めている。そこで頭がぼんやりして細かい調べが出来そうにない今、忘れてしまう前に現状を書いて、来年の私への忠告とする。尤も、やはり連休明けになって、体調が悪化して初めて読み直すことになりそうだけれども。(以下続稿)