瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

水島新司『ドカベン』(37)

鈴木則文監督『ドカベン』(27)
 昨日の続きで、映画を再見して気付いたことなど。
 ――映画では、最後に柔道部員たちが新生野球部に入っている。
 原作では10月9日付(20)に見たように、木下たちは中学3年の4月に山田を引き留めずに野球部へと送り出し、そして10月7日付(18)の注に指摘したように木下・目無し・大丸・丹下の、メガネを除く(?)全員が山田と同時に柔道部のまま卒業している。
 それにしても何故彼等は野球部に移ったのであろうか。
 無理を承知で敢えて推測すれば、柔道部の苦境を救ってくれたことに対する恩返しとして、野球部にと云うことになるのであろうか。――主将の木下だけ柔道部に残って。
 しかし、続編を作るとすれば、このメンバーで野球を続けて行くことになるのだろうけれども、10月13日付(24)等に述べたように、原作では野球にタッチしていなかった彼等の活躍を、一体どんな風に描くつもりだったのか、どうにもイメージし兼ねるのである。
 それはともかく、私がそれ以上におかしいと思ったのは、もともといた野球部員たちの処遇である。原作では10月10日付(21)に見たように、長島が退部したときに全員辞めている。長島のいない野球部では先の見込みがないと云う気持ちだったらしいのだが、その直後に長島が復帰したと聞いて自分たちも復帰しようとして、逸早く部員の誰もいない野球部に入って活動を始めていた岩鬼*1にその現金な態度を批判され、復帰を拒絶されている。
 しかし映画では新生野球部は長島山田バッテリーから始動するので、岩鬼にはそこまでの権限はない。それ以上に、次回取り上げるつもりだが部員たちは投手で4番・キャプテンの長島を慕っていて、長島の退部に抗議するかのように監督に退部届をたたきつけるのだ。10月9日付(20)に注意したようにこの監督もいなくなってしまうのだが、長島が復帰したら、元野球部員たちは復帰しても良さそうなものだし、少なくとも復帰したいと思いそうなものである。――しかしながら、彼等はそれこそ転校してしまったかのように姿を現さず、半数が元柔道部員、他に岩鬼殿馬と生徒会長の新生野球部に好き勝手にされて(?)しまうのである。(以下続稿)

*1:と云って、部員を勧誘するでもなく、グラウンドで1人で実況しながら野球ごっこをして遊んでいただけなのだが。