瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

吹奏樂部の思ひ出(4)

 女子高の吹奏楽部は中学も含めて110人くらいいた。その後、事情があって減ってしまうのだが、その事情は学校の雰囲気の変化とも連動しているので、やや書きにくい。
 そう云えば、今朝出勤で家を出る直前、NHKのニュース番組の見出しに「高校非正規教員200人以上雇い止め」とあるのが見えて*1、興味はあったのだが電車に一昨日の雪の影響がありそうなので、見ている余裕がなかった。――行きの電車は若干遅れた程度で済んだが、帰りの電車はちょうど間に合ったとホームに下りてから20分以上遅れて来た。
 それはともかく帰宅後、NHKのニュースサイトで検索して見るに「非正規雇用の教員 私立高で200人以上が雇い止め通告」との記事があった。「去年12月までに、全国590の私立高校を対象に調査した結果、回答があった216校のうち、45校・204人の非正規雇用の教員が今年度末での雇い止めを通告されていた」と云うのだが、全国で45校とはとてもじゃないが思えないので、回答のない学校ではそれ以上に雇い止めが横行していることだろうと思う。私自身は雇い止めで馘首された訳ではないのだが、同僚たちは雇い止めで今や誰もいなくなってしまった。当時、既に雇い止めを始めている学校もあって、講師室でも不安を口にする人が少なからずいたので、私は管理職が学期ごとに見ることになっている勤務日誌に、「無期雇用」云々を非常勤講師を馘首するための口実として利用するのは、非正規の権利を保護・保証しようとして導入されたこの制度の精神に反する。そもそも我々非常勤講師には担当コマ数が確保出来ない学校にしがみ付く余裕はないから、まとまった数の授業を回してもらえないのに「無期雇用」にしてくれ、などと言い募る訳がないのである。まさか本校がこのような制度の悪用をするとは思えないが、……と書いたこともあるのだけれども。
 さて、私の高校の吹奏楽部は、2017年3月31日付「山岳部の思ひ出(3)」の後半に述べたように、部室の場所が良くなってから人数も増えたがそれでも100人は行かなかったと思う。それが、女子ばかりにしても100人を越える大編成は、久し振りに大ホールで聞く吹奏楽と云うこともあって大満足であった。30年前の県立高校の吹奏楽定期演奏会に、そんな工夫もありそうにないもんだが、いや、私の高3のときの定期演奏会(高1・高2の定期演奏会に行ったかどうかは記憶にない)で、元同級生の男子が、グラサンを掛けて長渕剛の「乾杯」を歌ったことくらいしか覚えていないのである。「乾杯」は当時流行っていて、シングル盤「乾杯-NEW RECORDING VERSION-」が、昭和63年(1988)2月25日に発売されたところだったが、歌謡曲や芸能界に殆ど興味関心のなかった私は細かい事情を全く知らなかった。そんな私も「乾杯」を知っているのだから、流行っていたのである。
 それはともかく、女子高吹奏楽部の定期演奏会は、途中で小芝居も入り、ダンスをしたり、見世物としても充実しており、そして最後の方にはこの定期演奏会で引退する3年生がメインの演奏があり、それが終わると後輩から感謝の言葉と花束贈呈があり、3年生は全員、後輩たちも恐らく全員、泣くのである。――私は見ていて、涙をうかべていたのである。
 私は高校時代、2017年4月2日付「山岳部の思ひ出(5)」に述べたように部活の新入生勧誘に2年連続して失敗し、最終的に2017年4月3日付「山岳部の思ひ出(6)」に述べたように、顧問に騙されて(?)新入部員は入ったのだが、私らは邪魔者扱いされて追放されたのである。だから先輩と後輩の麗しい関係を目にして、私はこれがあるべき姿なのだ、と美しく思い、素直に感動したのであった。
 以来、毎年、担当するクラスに吹奏楽部員は途切れなかったから定期演奏会にも行き、そのうち、受付を手伝っている卒業生に挨拶されるようにもなったのだが、――何だか別に、吹奏楽部について自分には大変な過去がある、何故かそんな気がして、ならないのである。しかしそれは私の中に澱のようになっていて、一向に姿を示さない。私はどうも、この澱の正体を知るために定期演奏会に足を運んでいる、そんな気がして来たのである。(以下続行)

*1:こんな見出しだったが、正確な記憶である自信はない。