瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

今井正監督『ここに泉あり』(06)

・日本シナリオ文学全集・9『水木洋子集』(3)
 昨日引用した「主な配役」だけでも20人と多いのだが、それ以外に姓名の判明している役者も含めると40人以上にもなる。――とにかく登場人物が多い。脚本を読んでいても、誰が誰だか、忘れた頃に出て来たりするので、整理するために索引を作ることを考えた。
 頁で取っても仕方がないので、シーン番号で整理することにする。そのためにはまづ、シーンについて整理して置く必要があるだろう。
 脚本の本文は2段組で1段24行、1行25字。まづ冒頭の2つのシーンを引いて見よう。176頁上段1〜8行め、

1  走る汽車
   鈴なりの乗客――復員者、かつぎ屋、引揚者――
   をぶらさげて、汽車が駅へ入って行く。
 
2  高崎駅
   昭和二十二年頃の早春――。
   闇市のほこりっぽい雑踏。
   駅名を掲げた文字にも戦後の荒廃が現われている。
T・題名「ここに泉あり」
 


 上毛新聞社のサイト「上毛新聞ライブラリーに見る/平成/上毛新聞プレーバック」に公開されている昭和29年9月12日(日曜日)付「上毛新聞」第21390號(4)面、15段組(下部3段分は高崎競馬の広告)の4〜6段め右寄り(4〜5段めは撮影風景の写真)にある記事「“こゝに泉あり”/縣下各地でロケ」に拠ると、シーン1の撮影は昭和29年(1954)9月7日に行われたものである。
 シーンごとに1行空けている。台詞の組み方については、178頁上段1〜11行め、主演の岡田英次の登場シーンにて確認して置こう。

12  (F・I)高崎駅
   八月――相変らず乗り降りの客が雑踏。
   下り列車から復員者風の速水*1明が降りてくる。そ
   のリュックに首を出しているヴァイオリンのケー
   ス。
 
13  駅 前
   雑踏の中へ出てくる速水は迎えの人を探す。
   クジを売っているおかみさん。
速水「一寸伺いますが、市民フィルハーモニーというの
 は……」
クジ売り「へッ? フィル? シミン?……」
 


 次回より、シーン番号と場所を引き、括弧にその頁・行を添えて列挙して置くことにする、シーンの終了する位置は、次のシーンの1行空白を挟んで前の行と決まっているから一々書かない(が、段末・頁末で切れている場合は終了位置も注記した)。(以下続稿)

*1:ルビ「はや み」。