瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

校舎屋上の焼身自殺(23)

・新聞報道(4)朝刊②状況
 それでは昨日の続きで、各紙の昭和61年(1986)1月27日(月曜日)朝刊に出た記事の後半、当夜の現場や当日の大学について述べた箇所を見て置きましょう。
・「朝日新聞

 杉並署は、そばに灯油のタン【9段め】クがあったことから焼身自殺と/みて身元の確認を急いでいる。


・「毎日新聞

‥‥。傍/らに灯油ストーブのカートリ【4段め】ッジタンクがあり、杉並署で/は焼身自殺とみて身元確認を/急いでいる。
 キャンパス内には大学のほ/か、中学、高校、短大があ/り、道を隔てて学生寮がある/が、同大によると、夜間はキ/ャンパスのすべての門が閉め/られ、人の出入りはないとい/う。


・「読売新聞」

 杉並署の調べでは、女性/で、遺体の近くに石油スト/ーブ用のタンクが転がってい/ることから、焼身自殺ではな/いかとみて身元の確認を急い/でいる。
 二号棟は芸術学部の教室に/使われており、大学側の話に/よると、同棟屋上にはカギ/などはなく、出入りは自由に/できるという。


 「灯油のタンク」ではポリタンクかと思ってしまいます。「石油ストーブ用のタンク」でもやはり曖昧なので、ここは「毎日新聞」のように「灯油ストーブのカートリッジタンク」とあるべきで、これは11月7日付(15)に引いた「週刊新潮」2月6日号の記事によって、容量3リットル程度の「石油ストーブのカートリッジ」と分かります。
 さて、「女性」だと判断されたのは、遺体からではなく「週刊新潮」2月6日号の記事にあったように、傍に遺されていたカンバスに名前があったからでした。しかし直ちに本人と確認出来ませんから*1「女性」とだけ先に発表したのでしょう。
 「毎日新聞」は夜間の出入りについて注意していますが、これは11月8日付(16)に引いた、やはり「週刊新潮」2月6日号の林学生課長の談話によれば、日曜日は15時まで、しかも許可を得ないと入構出来ないので、やや説明不足です。
 「読売新聞」は屋上へ通じる扉が施錠されていないことに注意しています。――事件後にも出入りは自由だったらしく、10月17日付「閉じ込められた女子学生(14)」に触れましたが、当時女子美術大学付属高等学校3年生で、内部進学で女子美術短期大学に進んだ川奈まり子は、実話怪談 出没地帯』28頁7〜8行め、屋上でまさに「ここに/ある人影のような黒ずんだ染み」を見ているのです。(以下続稿)

*1:2時間ドラマだと実は身替りだった、などと云ったことになったりするのですけれども。しかしやはりそんなことは推理小説の話で、普通そんなことを疑ったりはしないでしょう。