・青木純二の経歴(19)「青葉しげる」での執筆活動
この「青葉しげる」と云う筆名(仮名)も、「青葉茂」同様、青木純二以外にも使用する人がいて、国立国会図書館サーチ及び国立国会図書館デジタルコレクションにて検索するに、古いところでは青木純二が生まれたまさに同じ月の「東北文学」10号(明治28年6月・東北文学社・405~454頁)に、439~444頁、青葉しげる「さみだれ」が載る。 それから戦後、コロムビアのレコード「宝塚主題歌:虎刈りの唄」高木史郎 作詞、山根久雄 作曲(昭和26年2月発売)に、宝塚歌劇団花組主演男役越路吹雪(1924.2.18~1980.11.7)宝塚歌劇団雪組主演男役明石照子(1929.2.25~1985.12.31)とともに「合唱」として、登代・春枝・青葉しげるの名が見える。そして新しいところでは「週刊平凡」22巻49号(昭和55年12月・平凡出版)68頁「新企画 ワイワイWide'80 このページは読者のみなさんからの投稿欄です」に、M子・Y・長坂裕輝子・青葉シゲル・山奥のオバチャン、と本名とイニシャルに混ざって「シゲル」の投稿が採られている。
しかし「青葉茂」と違って、青木純二の「青葉しげる」には、どうやら同時代に紛らわしい存在はいなかったらしい。
・「資本は舌一枚」週刊朝日編輯局 編『スピード結婚魔 本当にあった事(週刊朝日文庫 第八輯)』(昭和10年・朝日新聞社)135~頁
同じ本に1月28日付(149)に見たように「青葉茂」の筆名で載せた「アイヌ女の情炎」は同題で「週刊朝日」に出ていたが、こちらは書誌書目シリーズ(78)『戦前期『週刊朝日』総目次』を見ても見当たらない。或いは青木氏がさらに別の筆名を使っていたかも知れぬと昭和9年(1934)辺りを一通り眺めて見たのだがそれらしいものがない。そこで今日の帰りに国立国会図書館デジタルコレクションの「国立国会図書館/図書館送信限定」公開の分が端末で閲覧出来る図書館に立ち寄って、『スピード結婚魔』を確認して見た。
・週刊朝日文庫第八輯『スピード結婚魔』昭和十年五月三十日印刷・昭和十年六月 四 日發行・定價三十錢・朝日新聞社(大阪)・269頁
135頁5行め~147頁二行め、肝腎の「資本は舌一枚」は一部脱落があって全て読めなかった(と云うか、国立国会図書館デジタルコレクションを国立国会図書館以外で閲覧する場合、時間制限が厳しいのでざっと目を通す程度で済ませるしかない)のだけれども、どうやら、昨日見た「週刊朝日」昭和9年10月28日号「ハマの闌童事件」の改題らしい。当時、尺八奏者・福田蘭童(1905.5.15~1976.10.8)が結婚詐欺のスキャンダルで有名であったことから結婚詐欺師のことを「蘭童」呼ばわりしたので、「週刊朝日」昭和9年12月23日号(第26巻29号)にも森久雄「紅毛「蘭童」中尉」なる記事が見える。
ちなみに「アイヌ女の情炎」は19~36頁4行め。
・「過つて殺した友の妹と結婚する男」「話」4巻4号・4月号(昭和11年4月1日・文芸春秋社)116~121頁
・「鮎釣り」「米穀日本」3巻6号(昭和12年6月・日本米穀協会)66~69頁
・「写真怪異輯」「アサヒカメラ」24巻2号(昭和12年8月・朝日新聞社)363~367頁
・「香月将軍の少年時代」「少年倶樂部」24巻11号(昭和12年9月・大日本雄弁会講談社)92~頁
・「雪女〈夏の夜ばなし〉」「海員 = The seamen」5巻8号・通号48号(昭和28年8月・全日本海員組合本部)18~19頁
・「フアツシヨンモデルというものは(こぼれ話)」「海員 = The seamen」6巻2号・通号54号(昭和29年2月・全日本海員組合本部)43頁
・「乳母櫻」「海員 = The seamen」6巻4号・通号56号(昭和29年4月・全日本海員組合本部)19頁
・「安南スケツチ帳(随想)」「海員 = The seamen」6巻8号・通号60号(昭和29年8月・全日本海員組合本部)44頁
・「上海スケッチ帳」「海員 = The seamen」6巻9号・通号61号(昭和29年9月・全日本海員組合本部)23頁
・「ウラジオの思出」「海員 = The seamen」6巻10号・通号62号(昭和29年10月・全日本海員組合本部)21頁
・靑葉しげる・小林政夫「浅草愛詩」「海員 = The seamen」6巻11号・通号63号(昭和29年11月・全日本海員組合本部)21頁
・「銀座χ丁〈東京盛り場風景〉」「海員 = The seamen」6巻12号・通号64号(昭和29年12月・全日本海員組合本部)20~21頁
・靑葉しげる・小林政夫「新橋夜話〈東京盛り場風景〉」「海員 = The seamen」7巻1号・通号65号(昭和30年1月・全日本海員組合本部)20~21頁
・靑葉しげる・小林政夫「江東楽天地〈東京盛り場風景〉」「海員 = The seamen」7巻2号・通号66号(昭和30年2月・全日本海員組合本部)20~21頁
・「蟻の街小記」「海員 = The seamen」7巻3号・通号67号(昭和30年3月・全日本海員組合本部)20~21頁
・「新銭座の宿舟《水上生活者の生態》」「海員 = The seamen」7巻4号・通号68号(昭和30年4月・全日本海員組合本部)18~19頁
・三好鳴平・碇感二・西尾牧夫・野村愛正・山田克郞・湊邦三・小門和之助・藤田澄子・戸伏太兵・梶野悳三・丸山薰・服部正・細野耕三・村上光史・靑葉しげる・式場莞爾「〝暗き海〟をめぐる十五の意見」「海員 = The seamen」7巻4号・通号68号(昭和30年4月・全日本海員組合本部)54~64頁
・「木之江抄記」「海員 = The seamen」7巻5号・通号69号(昭和30年5月・全日本海員組合本部)20~21頁
・青葉しげる・小林政夫「苦しい〝暮しの手帖〟(或るニコヨン婦人の話)」「海員 = The seamen」7巻6号・通号70号(昭和30年6月・全日本海員組合本部)20~21頁
・青葉しげる・小林政夫「ラツコ船の人たち(林功一氏が語る北洋の話)」「海員 = The seamen」7巻7号・通号71号(昭和30年7月・全日本海員組合本部)18~19頁
・「嵐を衝いて(林功一氏が語る北洋の話)」「海員 = The seamen」7巻8号・通号72号(昭和30年8月・全日本海員組合本部)38~39頁
・青葉しげる・小林政夫「北洋に幕おりぬ(林功一氏が語る北洋の話)」「海員 = The seamen」7巻9号・通号73号(昭和30年9月・全日本海員組合本部)20~22頁
・「ゼノア行(林功一氏が語る第一回国際海事総会の話)」「海員 = The seamen」7巻10号・通号74号(昭和30年10月・全日本海員組合本部)50~53頁
・「浜木綿の歌(港で拾つた話)」「海員 = The seamen」7巻12号・通号76号(昭和30年12月・全日本海員組合本部)34頁
・「非常線をゆく女(港で拾つた話)」「海員 = The seamen」8巻1号・通号77号(昭和31年1月・全日本海員組合本部)30~32頁
・「浅草愛詩(ある双子姉妹の物語)」「海員 = The seamen」8巻2号・通号78号(昭和31年2月・全日本海員組合本部)30~31頁
・「大衆演藝襍記」「海員 = The seamen」8巻3号・通号79号(昭和31年3月・全日本海員組合本部)28~31頁
・「当直犬(林功一氏が語る北洋の話)」「海員 = The seamen」8巻4号・通号80号(昭和31年4月・全日本海員組合本部)27頁
・「熊狩り(林功一氏が語る北洋の話)」「海員 = The seamen」8巻5号・通号81号(昭和31年5月・全日本海員組合本部)32~33頁
・「北洋の伊達男(林功一氏が語る北洋の話)」「海員 = The seamen」8巻6号・通号82号(昭和31年6月・全日本海員組合本部)28~29頁
・「続・北洋の伊達男(林功一氏が語る北洋の話)」「海員 = The seamen」8巻7号・通号83号(昭和31年7月・全日本海員組合本部)30~31頁
林功一はこの号の植松傳三郞・上田正彥・新宅淸・鈴木庄次・林功一・林貞子・靑木敏・山口勝彌・佐藤德・中山唯男「寮長よもやま話(座談会)」に参加している。
・「真実ということ」「海員 = The seamen」8巻8号・通号84号(昭和31年8月・全日本海員組合本部)29頁
・「北洋の伊達男(林功一氏が語る北洋の話)」「海員 = The seamen」8巻10号・通号86号(昭和31年10月・全日本海員組合本部)28~29頁
この「海員」誌も幾つか端末で確認し、この国立国会図書館の入力データの不備、或いは当時の誌名との違い等にも気付かされたのだが、全ての確認を済ませる余裕がなかった。しかしいづれにせよこれは仮目録であるから、今は情報の加除を行わずに上げて置くこととする。(以下続稿)