瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

ビートたけし『たけしくん、ハイ!』(19)

銀河テレビ小説たけしくんハイ!」シナリオとの異同(12)
 昨日の続き。
 第6回では続いて、竹次郎(林隆三)が古田(綾田俊樹)を避ける本当の理由、出征時の職人仲間で集めた餞別30円を預かって、それを使ってしまったことが説明される。家に戻った竹次郎は、おずおずしながら古田と飲み始める。
・第7回(1)真利子の英語力①
 TVドラマでは第7回は、表面上、気持ち良さそうに酒を酌み交わしながら、餞別がどうなったか古田に思い出させないよう、涙ぐましい努力をする場面から始まっている。真利子(木の実ナナ)は菊(千石規子)を表に連れ出して、餞別の件を説明して『シナリオ』90頁上段19~20行め「あの頃のお金で三十円。だから、今なら六、/ 七千円にはなる」貸しがあることを思い出させないよう、念を押したりするのである。
 『シナリオ』では、その前に、次のような場面がある。88頁上段2行め~89頁上段9行め、

●道(花)

  たけしが走る。酒びんを持っている。

信濃屋・中

  五、六人の客。
  たけしが飛び込んで来る。
たけし「今晩は
大 山「あれ、どうしたの? お父さん、来てないよ。」
たけし「これ。(と、紙片を出す。)」
大 山「(読む。)恐れ入りますが、お酒を一升拝借さ/ せて頂きたく存じます。子供を使いに出しましたの/ で何卒よしなに、西野内。――なるほど、はいよ。/ びん貸しな。」
  たけし、酒びんを出す。【88上】
  大山、びんにじょうごを当てて酒をつぐ。
客 一「今のさァ、誰? その手紙。」
大 山「西野さんとこのおかみさん。」
客 一「へえ。何卒よしなに――か。うちの女房にゃ/ ちょいと使えねえセリフだなあ。」
大 山「だってさ、女子師範の試験に合格したって/ えんだから。もっとも経済的な事情で行けなかった/ らしいんだけどね。どっちにしたって、この辺のお/ かみさん連中じゃ太刀打ち出来ないんじゃないの。」
客 二「ちょいと見せてよ。」
  と、紙片を取って、
客 二「へえ、字もうまいねえ。」
大 山「ま、西野さんとこはね、おかみさんでもっ/ てるようなものだから。」
大 山「はい。どうぞ。転ばねえように持って行きな。」
たけし「どうもありがとう。」
大 山「お父さん、今日はうちで飲むのかい?」
たけし「ううん、お客さん。」
大 山「ああ、なるほど。」
  たけし、飛び出して行く。
大 山「何せ、英語が読めるってんだから。」【88下】
客 一「誰が?」
大 山「西野さんのおかみさん。」
客 一「へえ

●西野家・表

  表で待っている真利子。
  たけしが走って帰って来る。
真利子「はい、御苦労さん。お客さんの前でね、信濃/ 屋さんで借りて来たなんて言うんじゃないよ。」
たけし「判ってるよ。」


 女子師範の件は、後日、竹次郎が飲みながら信濃屋で主人の大山(北見治一)に話す形で説明されていた。
 この真利子の英語力は、第12回に米兵が訪ねて来たときに発揮されている。
 さて、この場面、撮影されなかったのではないかと思われるのだが、客一・客二は例によってブッチー武者(1952.8.6生)撮影当時32歳と、大島宇三郎(1951.3.27生)撮影当時34歳、であったろう。
 信濃屋には竹次郎と松原源治(金田龍之介)も飲みに来ているが、客としては富士原恭平(1961.2.17生)撮影当時24歳、水島びん(1951.4.30生)撮影当時34歳、の2人が出演している。(以下続稿)