昨日の続きで、①『昔話・伝説小事典』3頁「凡 例」7項目(2~27行め)と③『昔話・伝説を知る事典』8頁「[凡例]」8項目(2~17行め)とを比較して見よう。
①の1項め(2~4行め)、
1. 本書は,昔話・伝説・世間話,ならびに子供/ の文化,そしてそれに関連する項目について解/ 説した。
③にはこのような編纂の意図を説明した箇条はない。1項め(2~6行め)は、
一、本書は、二〇一三年五月にアーツアンドクラフツより刊行された自然民俗誌『やまか/ わうみ 二〇一三年春号(Vol.7)』「総特集 昔話・伝説を知る事典」より連載を除い/ て単行本化した。この「総特集」は、一九八七年に刊行された『昔話・伝説小事典』/ (みずうみ書房)を底本として再編集され、各項目は執筆者の手により加筆・修正・校/ 閲を経て出版されたものであった。
と、先行する①『昔話・伝説小事典』と②「やまかわうみ」Vol. 7との関係を述べたものとなっている。すなわち、②=③と見做して良いようだ。
①の2~3項め(5~8行め)、
2. 見出しの配列は,五十音順に従ったが,一部/ 項目については解説の中に含めたものもある。
3. 本文中,書名・文献名には『 』,話型名,論/ 文・作品名には「 」を付し,分類名,引用語/ 句等については〈 〉で示した。
とあるのは③の2~3項め(7~8行め)が対応しているが、それぞれ短くなっている。
3項めの方を先に見て置こう。すなわち『 』と「 」の説明はそのままだが、〈 〉についての説明がなくなっている。しかし①の項目本文では< >であったこの引用符は③でも〈 〉でそのまま使用されている。
2項めでは「解説」云々の件がなくなっている。「解説」は、野村純一「日本の昔話と伝説」のことであろう。そうすると、昨日「日本の昔話と伝説」の本文中、立項されている語句が①ではゴシック体になっている、としたが、中には立項されていないゴシック体もあるので、すなわち、2021年12月3日付「白馬岳の雪女(090)」に引いた①4頁《目 次》の凡例の2項めに「◇ 印は解説に含まれる項目」とあるのがこの「解説の中に含めたもの」のようである。
①4~13頁《目 次》を見て行くと、まづ9頁左24行め「伝説と神話◇ ……………….. 21」とあり、21頁を見るに19~20行め「‥‥。いうなれば,伝/説と神話の相渉である。‥‥」とゴシック体になっている。目次は50音順だからここまで数字は1頁2項目だから2つずつ順に出て来たのがここで急に「169」と「170」の間が「21」になるのである。次に9頁左27行め「伝説の研究史◇ …………….. 23」とあってこれは23頁6行め「‥‥。伝説の研究史上,‥/‥」と見えているがゴシック体になっていない。但し23頁4~28行めは「グリム兄弟」や「上田敏」、そして「高木敏雄,さらには柳田國男」が登場する、伝説の研究史を紹介したらしい箇所(25行めにも「‥‥,研究史に即して‥‥」とある)になっている。
10頁右19行め「昼むかし◇ ………………….. 19」は、19頁18行め「‥‥,普通「昼むかし」と称して,‥‥」とゴシック体になっていて、19頁17行め~20頁10行めが「昼むかし」の解説になっている。
11頁左25~26行め「民間神話◇ ………………….. 21/民間文芸◇ ………………….. 21」は、21頁12~13行め「‥‥,一/定のストーリーをもつ民間文芸を,‥‥」とあり、18行め「‥‥,/しばしば民間神話,あるいは‥‥」とある。
③の「目次」には「昼むかし」が出ていないし、「索引」もなくなっているので、解説を読まずに項目だけ見ようとする人は本書に「昼むかし」の説明があることに気付けないだろう。①《話名・書名索引》304頁左2行めに「昼むかし」があって「240」頁が指示されている。「19,240」として欲しいところだが、とにかく240頁を見るに右側「昔話の禁忌〔むかしばなしのきんき〕」項(常光 徹)が、ほぼ「昼むかし」の禁忌について述べていて、先に引いた「凡例」の「一部項目については解説の中に含めたものもある」との断り書からしても重複と云うべきである。②として「再編集」する際に「昔話の禁忌」項は削除するべきだったのではないか。しかし③246頁に「昔話の禁忌 むかしばなしのきんき」は全くの同文で再録されているのである。すなわち、本書に2箇所「昼むかし」の説明があったことに、①でも気付きにくかったが③ではいよいよ気付きにくくなっているのである。(以下続稿)