瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

みずうみ書房『昔話・伝説小事典』(3)

 昨日の続きで、①『昔話・伝説小事典』3頁「凡  例」7項目(2~27行め)と③『昔話・伝説を知る事典』8頁「[凡例]」8項目(2~17行め)とを比較して見よう。
 ①の1項め(2~4行め)、

1. 本書は,昔話・伝説・世間話,ならびに子供/ の文化,そしてそれに関連する項目について解/ 説した。


 にはこのような編纂の意図を説明した箇条はない。1項め(2~6行め)は、

一、本書は、二〇一三年五月にアーツアンドクラフツより刊行された自然民俗誌『やまか/  わうみ 二〇一三年春号(Vol.7)』「総特集 昔話・伝説を知る事典」より連載を除い/  て単行本化した。この「総特集」は、一九八七年に刊行された『昔話・伝説小事典』/  (みずうみ書房)を底本として再編集され、各項目は執筆者の手により加筆・修正・校/  閲を経て出版されたものであった。

と、先行する①『昔話・伝説小事典』②「やまかわうみ」Vol. 7との関係を述べたものとなっている。すなわち、②=③と見做して良いようだ。
 の2~3項め(5~8行め)、

2. 見出しの配列は,五十音順に従ったが,一部/ 項目については解説の中に含めたものもある。
3. 本文中,書名・文献名には『 』,話型名,論/ 文・作品名には「 」を付し,分類名,引用語/ 句等については〈 〉で示した。

とあるのはの2~3項め(7~8行め)が対応しているが、それぞれ短くなっている。
 3項めの方を先に見て置こう。すなわち『 』と「 」の説明はそのままだが、〈 〉についての説明がなくなっている。しかしの項目本文では< >であったこの引用符はでも〈 〉でそのまま使用されている。
 2項めでは「解説」云々の件がなくなっている。「解説」は、野村純一「日本の昔話と伝説」のことであろう。そうすると、昨日「日本の昔話と伝説」の本文中、立項されている語句が①ではゴシック体になっている、としたが、中には立項されていないゴシック体もあるので、すなわち、2021年12月3日付「白馬岳の雪女(090)」に引いた4頁《目  次》の凡例の2項めに「◇ 印は解説に含まれる項目」とあるのがこの「解説の中に含めたもの」のようである。
 4~13頁《目  次》を見て行くと、まづ9頁左24行め「伝説と神話◇ ……………….. 21」とあり、21頁を見るに19~20行め「‥‥。いうなれば,説と神話の相渉である。‥‥」とゴシック体になっている。目次は50音順だからここまで数字は1頁2項目だから2つずつ順に出て来たのがここで急に「169」と「170」の間が「21」になるのである。次に9頁左27行め「伝説の研究史◇ …………….. 23」とあってこれは23頁6行め「‥‥。伝説の研究史上,‥/‥」と見えているがゴシック体になっていない。但し23頁4~28行めは「グリム兄弟」や「上田敏」、そして「高木敏雄,さらには柳田國男」が登場する、伝説の研究史を紹介したらしい箇所(25行めにも「‥‥,研究史に即して‥‥」とある)になっている。
 10頁右19行め「昼むかし◇ ………………….. 19」は、19頁18行め「‥‥,普通「昼むかし」と称して,‥‥」とゴシック体になっていて、19頁17行め~20頁10行めが「昼むかし」の解説になっている。
 11頁左25~26行め「民間神話◇ ………………….. 21/民間文芸◇ ………………….. 21」は、21頁12~13行め「‥‥,一/定のストーリーをもつ民間文芸を,‥‥」とあり、18行め「‥‥,/しばしば民間神話,あるいは‥‥」とある。
 の「目次」には「昼むかし」が出ていないし、「索引」もなくなっているので、解説を読まずに項目だけ見ようとする人は本書に「昼むかし」の説明があることに気付けないだろう。《話名・書名索引》304頁左2行めに「昼むかし」があって「240」頁が指示されている。「19,240」として欲しいところだが、とにかく240頁を見るに右側「昔話の禁忌〔むかしばなしのきんき〕」項(常光 徹)が、ほぼ「昼むかし」の禁忌について述べていて、先に引いた「凡例」の「一部項目については解説の中に含めたものもある」との断り書からしても重複と云うべきである。として「再編集」する際に「昔話の禁忌」項は削除するべきだったのではないか。しかし246頁に「昔話の禁忌 むかしばなしのきん」は全くの同文で再録されているのである。すなわち、本書に2箇所「昼むかし」の説明があったことに、でも気付きにくかったがではいよいよ気付きにくくなっているのである。(以下続稿)