瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

みずうみ書房『昔話・伝説小事典』(8)

・項目削減とその影響(1)
 3月10日付(6)に示した①『昔話・伝説小事典』③『昔話・伝説を知る事典』を対照させた「項目一覧表」は、作成はそれほど面倒だとは思わなかったが時間が掛かって、細かい見直しが出来ていない。よって今後、細かい訂正が入るかも知れない。とにかく全体的な見直しは時間に余裕があるときに果たすことにして、今は昨日予告した件について話を続けよう。
 一昨日の「項目一覧表」と昨日の「執筆者・執筆項目数一覧表」から、昨日はまづの編集に際して「子供の文化関係項目」が排除されたらしいことを指摘した。498項目が272項目になっているのだから、226項目が削除されたことになるのだが、うち96項目が、主に児童文学関係の項目を担当した5人の執筆した項目であった。うち3人は担当項目が皆無となったための「[執筆者一覧]」からは姿を消している。但し佐藤凉子のみは編者として名前を止めている。の「子供の文化関連項目」は97項目、児童文学関係の5氏以外の執筆者が担当した項目も含めて、うち92項目がには引き継がれなかった。そうすると、残る130もしくは134項目が、民俗学系統の執筆者の担当した項目の削除分と云うことになるのだが、これにはある程度の傾向があって、まづ昔話・伝説の研究に大きな足跡を残した研究者について、少なからず解説されていたのがなくなっている。それから『遠野物語』や『聴耳草紙』、「郷土研究」「旅と傳説」「昔話研究」など、民俗学勃興時に大きな役割を果たした書籍や雑誌について解説した項目もなくなっている。『今昔物語集』など古典文学や「能」「狂言」など芸能と、昔話・伝説の関わりを解説した項目もなくなっている。外国やアイヌ・南島に関する項目もその殆どがなくなっている。
 これらの項目がなくなったことは、①の総合的な内容を目指した特色を失わせるもので、どうかとは思う。『昔話・伝説を知る事典』と云うのであれば、むしろこういう項目を積極的に保存しても良かったように思うからである。しかしながら、新規に出版するために内容を整理する必要があったとするならば、このような基準を設けて、その分をごっそり削除すると云うのも、ある程度は仕方のないことなのかも知れない。
 ところが、こうした方針があって削除したのではないらしい項目が多々存するのである。それがの「[執筆者一覧]」から姿を消した5人のうち、もう2人の担当した項目で、前記130もしくは134項目の半数以上、実に76項目が、この2人の担当であったのである。
 1人は高木史人(1957生)で、実はの最多項目執筆者であった。
 もう1人は戸塚ひろみ(1951生)で30項目、これは高木史人(46項目)・土橋悦子(35項目)・花部英雄(33項目)に次いで多かった。
 高木氏は現在武庫川女子大学教育学部教育学科教授である。戸塚氏は10年前から情報が殆どなく、今、どうしているかも分からない。
 そして、この2人の担当した項目が③に引き継がれなかったことによって、には様々な不具合が生じているのである。
 もちろん、上記、研究史に関わる項目、高木氏の担当では「上田敏」「折口信夫」「菅江真澄」「高木敏雄」或いは『日本昔話集成』、戸塚氏の担当では「関敬吾」「南方熊楠」「柳田國男」や『遠野物語』「郷土研究」「旅と伝説」が引き継がれなかったのは、私などからすると残して欲しい項目ばかりであるが、の再編集の方針からして、おかしくはない。しかし、それ以外の項目には、何故残さなかったのか理解出来ない、当然載せて然るべき項目が少なからず存するのである。
 すなわち、③には「浦島太郎」が出ていない。昔話には西洋のシンデレラや白雪姫を見ても「継子譚」がかなりの位置を占めているはずだが、これもない。「姥皮」「手なし娘」「糠福米福」「灰坊」と云った代表的な継子譚に関する項目が全てなくなっているが、これらは①では高木氏の担当であった。
 それから「猫」や「梅」など昔話・伝説に頻出する動植物の項目のうち、①にあった「犬」が③には見当たらない。「片葉の芦」「白米城」「八百比丘尼」と云ったよく目にする伝説、伝説のジャンルのうち「英雄伝説」「義民伝説」「金鶏伝説」「人柱伝説」と云った項目もなくなっているが、これらは戸塚氏の担当であった。
 詳細は「項目一覧表」にて、ブラウザの検索機能などを使って確認されたい。例えば「伝説」で検索すれば「高僧伝説」や「沈鐘伝説」など多くのジャンルが引き継がれていることが分かるのだが、いよいよ「英雄」や「人柱」を省いた理由が分からなくなるのである。
 どうやら、両氏は③の刊行に協力しないことにして、自らの執筆した項目を引き揚げたように思われるのである。
 以下は推測である。違う理由なのかも知れないが、考え得る可能性のうち、蓋然性の高そうなものを書いて置く。(以下続稿)