瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

森満喜子「濤江介正近」拾遺(10)

 2月15日付(09)から続けて、最後の2冊、<新装版>⑨⑩に及ぶべきだが森氏の伝記資料として新しい情報もないので滞らせてしまった。いづれ機会を作って果たすことにしたいが、今は別のことを片付けて置くこととしたい。
 それと云うのは、――隣の市の中央図書館にも森満喜子の著書が6冊か所蔵されている。そこで先月久し振りで出掛けた折に、最晩年の<新装版>2冊を除く4冊を借りて来た*1
①『沖田総司哀歌』第一刷
②『沖田総司抄』第一刷
③『沖田総司幻歌』第一刷
⑦『遙かなる沖田総司』第一刷

 いづれも第一刷である。③⑦は既に別の市の図書館で第一刷を借りて見ていたが①と②の第一刷は初めて手にした。
 よく読まれたらしいのに、カバーも破損せずに残っている。ただブックコートフィルムのサイズに合わせて①はカバー折返しを白地になったところで全て切除、⑦も切除しているがカバー表紙折返しの最下部に明朝体太字で小さく横組みで「装画/村上 豊」と右寄せで入っているうちの「村上 豊」の名前だけでも残そうとしてか「著者のことば」の見出しと1行めの一部が残っている。1行めの下段「この時ほど専称寺沖田総司の墓を憶」は推読可能で「司」以降はほぼ完全に残っており、それが却って無惨な印象を与えている。②と③はカバー裏表紙折返しは切除しているが、カバー表紙折返しはブックコートフィルムの方を②幅 2.0cm、③幅 2.5cm 切って、それで折返しの 3/5 くらいはコート出来なくなるが端を押さえて剥がれないように工夫して、全部を保存している。
 ここでは①の第一刷と第三刷を比較して置こう。第三刷のカバーについては1月17日付(02)にメモしたが、そのときに「カバー表紙(及び裏表紙)の枠は書影に同じ紫色で、カバー背表紙の文字も紫色」と述べたのだが、今、書影と比較するに書影の枠は暗い灰色で、これは第一刷に一致する。カバー背表紙の文字も暗い灰色である。第三刷については「第十刷」の「枠とカバー背表紙の文字は水色で、カバー表紙の短冊型の地色とカバー背表紙の家紋の色が第三刷より若干薄くなる」ものと比較して、それで書影の色についても錯覚してしまったらしい。第一刷の「カバー表紙の短冊型の地色とカバー背表紙の家紋の色」は第三刷よりもはっきり濃い。やはり「褪色」ではなく、文字も枠も色を変えていたようだ。
 カバー裏表紙の枠内最下部左寄り、地色も白なのだがその中でくっきりと白く「0093500323306 850円」と入っているのは一致。この辺りは第三刷と第十刷を比較しつつ2月5日付(03)に詳述してある。
 扉に受入印があるが残念ながら日付が空白で受入日は不明。3頁(頁付なし)中扉、標題の位置が第一刷は高く、第三刷は2字分くらい低くしてある。
 奥付、上部の著者紹介は一致、但し第一刷は綺麗に刷られているのが第三刷にはムラが出来ている。下部の縦組み部分、上下に横線で仕切るが第一刷(8.3cm)に比して第三刷(8.2cm)は少し短く、上下の間隔も第一刷(7.7cm)に比して第三刷(7.6cm)は若干狭い。記載内容の異同は発行日が第一刷は1行で著 者・発行者・発行所・印刷所・製本所・定 価と同じ大きさであったのが、第三刷は2行で小さく収めてあり、「 十 月」の「十」は左と下が欠け「第三刷」の「三」は1画めが太くなっている。第一刷も第三刷に同じく「印刷所 日本製版株式会社」に合わせて「製本所 美   成   社」と字配りしている。奥付裏から4頁の目録、挙がっている書目は第三刷に一致するが3頁め4点め『紀行・新選組』の定価が「880円(予)」となっているところのみ異なる。(以下続稿)

*1:<新装版>に興味がないから借りなかったのではなく、相互利用登録では5冊までしか借りられないため2冊とも(他の市の図書館で借りていたこともあって)諦めたのである。