昭和49年版、4頁(頁付なし)の左下に小さく「装画 水木しげる/題字 野村無象/見返し地図 木村卜堂/散文詩 山田野理夫/写真撮影 宝文舘出版写真部」とある。
その後、昭和52年版も借りて来て今手許に4種揃っているのだが、上製本は昭和49年版のみで、昭和52年版が既に並製本である。大きさは四六判で変わりない。ここで昭和52年版と昭和63年版について述べておこう。
昭和52年版のこの頁(4頁)には、中央に「散 文 詩 山田野理夫/写真撮影 宝文館出版」とのみ、入っているように、全く装幀が違う。カバーは白地、背表紙には上半分に標題、一番下にゴシック体で「宝文館叢書」、標題と叢書名の中間に■■。表紙には上部に横書きで標題、その下に右詰で著者名が入る。デザインは■が3つ、■が2つ、■が2つ、並んだり重なったりして、その下は直線で囲われた黒の塊、一番下は表紙下辺を底辺とする青の三角形(ちょっと違うのだが)である。ヤフーオークションのページにある新藤兼人『シナリオの構成』の画像*1を見るに全く同じデザインで、これは宝文館叢書*2の装幀であるらしい。裏表紙は中央部に■■■、下部に横書きで「0339-001139-7715 1200円」とある。私の見た本は折返しも完全であったが、裏表紙折返しにのみ、下部中央に縦書き2行で「遠野のザシキワラシ/とオシラサマ」とある。見返しはクリーム色、同じ紙の遊び紙があって(裏表紙見返しも同様)、淡い黄色の扉、横書きで上部に標題、その下に右寄せで著者名、青と黒と黄色を組み合わせたデザインがあり、下部にゴシック体で版元名。裏には下部に横書きで「装釘 北園克衛」とある。目次は昭和49年版と同じである。巻末を見るに「佐々木喜善全著作目録/佐々木光広編*3」があり、奥付は昭和49年版とは形式も違っていて「宝文館叢書/遠野のザシキワラシ/とオシラサマ ©/昭和五十二年十月十五日 第一刷発行/著 者 佐々木喜善/編 者 山田野理夫/発行者 羽生和夫」続いて発行所と続く。下の界線の下は横書きで「0339―001139―7715 Printed in Japan」とある。これを見る限りでは昭和49年版の存在は分からない。
この昭和52年版、高橋克彦編『十の物語(現代ホラー傑作選集第3集・角川ホラー文庫9065)』(平成5年7月24日初版発行・定価485円・角川書店・281頁)に何話か引用されており、巻末の「出典一覧」に「ザシキワラシ 佐々木喜善 『遠野のザシキワラシとオシラサマ』宝文館叢書 一九七七年」とある。もちろんこれは昭和49年版の改装版なのであるが*4。
昭和63年版のこの頁(4頁)も昭和52年版と同じで、やはり四六判並製本なのだが、カバーは下部5.7cmが赤く帯状になっているが、これは赤く印刷されているだけで帯ではない。横書き・白抜きで「柳田国男著「遠野物語」の語り手・佐々木喜/善の名書「奥州のザシキワラシの話」の全稿/と、単行本未収録のザシキワラシの話、さら/に遠野に伝わるオシラサマの話など、貴重な/民俗資料をあわせて編集。/宝文館出版 定価 1300円」とある。中央に横長6.9×10.0cm のモノクロ写真(黄緑地)がある。これは77頁の石塔を別の角度から撮影したものである。残りは白で、写真の上に横書きで、標題「遠野のザシキワラシとオシラサマ」と著者名「佐々木喜善」が2行で入る。背表紙は白い部分に標題が、赤いところに白抜きで著者名と最下部に横書きで「宝文館出版」とある。裏表紙は上部に「ISBN4-8320-1328-9 C0039 \1300E 定価 1300円」下部は縦書き・白抜きで「目次」が2〜3頁のまま入る(山下氏・山田氏の文の題はない。頁数も表示していない)。本体は白の布目エンボスで、背表紙にカバーと同じ文字が黒で入っている(背表紙のみ覗き込める)。見返しは濃い茶色のOKミューズコットンで、同じ用紙の遊紙が1枚(裏には横縞なし)、無地白紙の遊紙が1枚あって(これは裏表紙見返しも同じ)、本文共紙の扉がある。扉は横書きで上部に標題、その下にやや小さく著者名(以上明朝体)、そして下部にゴシック体で版元名が入る。裏は白紙で、次の目次は、既に触れたように「佐々木喜善全著作目録/佐々木光広編」が見えない他は、これまでの2版と同じである。奥付については前回述べた。
すなわち、水木しげるのカバー装画があったのは昭和49年版のみなのだが、昭和52年版・昭和63年版を見た人はそんなカバーがあったことも分からないわけだ。しかし、図書館でカバーなし昭和49年版を見た人が、この「装画 水木しげる」を見たら、さぞかし残念に思うことだろう。水木氏の絵が苦手な私だって見たい。しかし、……確かに登場はするのだが、河童をどーんと描いたのは水木サンの好みなのだろうか。それはともかく「定価はカバー(或いは「函」)に表示してあります。」という本が少なくない*5のだから、着けて保存するようになったのは悦ばしい。帯を保存しようとしている図書館もあって、昭和期にはカバーを廃棄していた館なのだが、今は帯を、カバー折返しをブックコートフィルムで密封せずにポケット状にしておいて、そこに仕舞い込んで保存したり、また別の館では帯文を切り取って見返しに貼付しているところもあった。(以下続稿)