瑣事加減

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蓋にくっついた話(5)

 さて、同時にあれもたこ焼きだ、と閃いた話というのは、高校のときに新刊で買った武藤禎夫校注『安永期 小咄本集 ――近世笑話集(中)――岩波文庫30-251-2)』(1987年12月16日第1刷発行・定価600円・岩波書店・402頁)で読んだ話だった。これもまさにたこ焼きなのである。

安永期小咄本集―近世笑話集 中 (岩波文庫)

安永期小咄本集―近世笑話集 中 (岩波文庫)

 武藤氏と言えば、昭和40年(1965)に『江戸小咄辞典』を刊行して、落語の原話研究を飛躍的に発展させた功労者である。これを見た前田勇や宇井無愁が東京落語よりネタ数の多い上方落語に活用することにより、近世にまで遡れる落語の発想がさらに多くあることが確かめられたのだが、それもこれも武藤氏の名著があったればこそである*1。そこで、武藤禎夫『江戸小咄辞典』(昭和40年3月10日初版発行・昭和43年4月30日7版発行・¥1,200.・東京堂出版・528頁)を参照するに、たこ焼きと同じく蓋の裏にくっついて気付かない話は「鞠の意見」として立項されている(382〜383頁)。例として引用されているのは(軽口太平楽巻二・宝暦十三)で、【類話】として「まり箱(聞上手・安永二)鞠(今歳笑・安永七)『胡盧百転』(寛政八)」が挙がる。また、【鑑賞】には前半が同じでオチの違う(鹿子餅・明和九・鞠)が引用されている。
 これらの資料は、その後、武藤禎夫編*2『噺本大系』(東京堂出版)に翻刻されている。1つを引いて代表させても良いのだが、折角資料が整備されているのだから、並べて比較しつつ紹介してみたいと思う。(以下続稿)

*1:武藤氏『江戸小咄辞典』の落語研究への影響の大きさは、差当り前田勇『上方落語の歴史』(杉本書店)の初版(昭和33年)と増補改訂版(昭和41年)を比較すれば良く分かる。いずれ記事にしたいと思う。

*2:第八巻までは岡雅彦と共編。