瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

蓋にくっついた話(6)

 江戸時代中期には町人層に蹴鞠が流行ったらしい。その辺りの背景も調べれば面白いのだろうが、たこ焼きとは離れる一方なので止して、堅物の親父と、色々な遊藝にハマり込む道楽息子との対立というお定まりのパターンに「鞠」が使われている話を拾って、と云ってほぼ武藤氏の『江戸小咄辞典』に拠るのだが、比べてみたい。
【A】宝暦四年(1754)正月序(刊)『軽口豊年遊』巻一ノ2「まりものをいう」
【B】宝暦四年(1754)正月序(刊)『軽口豊年遊』巻二ノ8「まりのゐけん」
【C】明和九年(1772)正月刊『鹿の子餅』4「鞠」
【D】安永二年(1773)正月序(刊)『聞上手』32「まり箱」
【E】安永七年(1778)正月序(刊)『今歳笑』30「鞠」
 『胡盧百転』は未見。まだ他にもあるかも知れない。
 引用は『噺本大系』による。『江戸小咄辞典』に挙がっている『軽口太平楽』は『噺本大系』には入っていないが、既に『江戸小咄辞典』449〜471頁「所収書目解説」に『軽口太平楽』は「『軽口豊年遊』(宝暦四)の嗣足改題再板本の由。」と見えていて(455頁)、元になった『軽口豊年遊』が『噺本大系』第八巻(昭和五一年六月三〇日初版発行・東京堂出版・344頁)に収録されている。すなわち半紙本5巻5冊、岡権兵衛(京)版、聞遊閣笑楽序・作。219〜237頁に翻刻、331〜344頁「所収書目解題」のうち337〜338頁に解題が載る。
 鱗形屋孫兵衛(江戸)版・小本1冊・木室卯雲作・勝川春章画『鹿の子餅』と遠州屋弥七(江戸)版・小本1冊・小松百亀作 画『聞上手』は、第九巻(昭和五四年一月三〇日初版発行・定価七八〇〇円・東京堂出版・331頁)の、それぞれ3〜22頁・56〜74頁に翻刻、315〜331頁「所収書目解題」のうち316頁・318〜319頁に解題が載る。また。昨日紹介した武藤禎夫校注『安永期 小咄本集 ――近世笑話集(中)――岩波文庫)』や、小高敏郎校注『江戸笑話集(日本古典文学大系100)』(1966年7月5日第1刷発行・1988年8月2日第18刷発行・定価3800円・岩波書店・589頁)にも収録されている。
 『今歳笑』は小本1冊、泥田坊(品川玄瑚)序、第十一巻(昭和五四年三月三〇日初版発行・定価七八〇〇円・東京堂出版・368頁)160〜171頁に翻刻、355〜368頁「所収書目解題」のうち362頁に解題が載る。