『ガラスの仮面 第2巻 炎の階段(白泉社文庫)』(一九九四年三月二十二日初版発行・二〇一一年四月十五日第四十四刷発行・定価619円・白泉社・316頁)
『ガラスの仮面 第3巻 風の中を行く(白泉社文庫)』(一九九四年三月二十二日初版発行・一九九七年一月二十五日第十八刷発行・定価563円・白泉社・317頁)
・一九九七年十一月十五日第二十四刷発行・定価562円*1
第3巻以降は図書館で借りて読んでいる。
・第2巻131頁の3コマめ〜7コマめ。秋に行われた発表会=劇団「つきかげ」創立第1回公演『若草物語』について、前回(2)の最初に引用した速水真澄の策略により悪評を立てられたことで、出資者の青柳芸能の社員たちが乗り込んで来て、月影先生を強く責める。
月影:「それでわたしにどうしろと?」/
社員:カチ ト煙草に火を付け「月影さん 演劇コンクールのことをきいているかね?」/
月影:「演劇コンクール?」
社員:「全日本演劇連盟主催 初の大がかりな演劇コンクールで/来年の春名古屋で3日間にわたってその全国大会がある」/
社員:「これに優勝すればその劇団は日本一ということで名をあげられるのだから/あちこちの劇団や養成所が色めきたっている/しかも1位2位3位の入賞3作はTVで放映されるというおまけつきだ/名を広めるにはもってこいのチャンスだ」/
社員:「応募資格は劇団や養成所の研究生であるということ/まず東京地区予選で東京の各劇団と競い/選ばれたのち全国大会出場ということになる/そこでだ月影さん」/
という訳で、汚名返上のため全国3位までに入らなければ劇団つきかげを潰す、と宣告されるのだが、こんな丁寧な説明をしているのはもちろん月影先生がこのコンクールのことを知らなかったからなのだが、知らないのも道理で「初の大がかりな演劇コンクール」とあるから第1回としか思えない。尤も、第3巻にかけての全日本演劇コンクールの場面では、東京地区予選・全国大会ともに「第×回」のような表示や発言はないのだが、だとすると全国大会の開会式の場面、第3巻65頁4コマめ、客席に座っている劇団員たち(観客ではないだろう)の会話が、気になるのだ。
団員A:「あれが優勝候補のオンディーヌと互角にたたかったっていう劇団つきかげね」
団員B:「東京地区から特別に2組出場なんて前代未聞!/この全国大会の話題のまと!」
団員C:「よほど実力のある連中がそろってるんだろうな」/
「初の」大会なのだから「前代未聞!」の訳がない*2。ちなみにこのとき上演日と出番が、66頁9コマめ「第6日目第43番劇団つきかげ!」と発表されているのは、「3日間にわたって」という説明と矛盾している。第3巻を書いている時点では各都道府県予選から47代表、というつもりだったようだが、東京が1組しか出られなかったはずなのだから、予選ブロックも「3日間」に収まる数の代表に絞れるように、第2巻の時点では設定されていたはずだと思うのだが……しかしこれはもう「3日間」の方を修正するしかありませんね。
・第3巻291〜302頁、アイドル歌手田淵エミ初出演・主演映画「白い青春譜」(中尾次郎監督・夏目映画)のオーディションを受ける場面、マヤは「87番」なのだが、まず第1次審査の通過者は、次のように発表される(299頁4コマめ〜7コマめ)。
社員:「第1次審査の結果を発表します!/番号を呼ばれた人は明日の第二次審査にきてください!」/
社員:「16番! 27番! 31番! 45番! 60番!」/
社員:「87番!」/
マヤ:キャー「あたしだわ! よかった! 1次審査を通過したわ!」/
そして第2次審査(最終審査)があって監督・脚本家等が結論を出したところで第1次審査で落とされかけたマヤを推した製作部長林雄二が、再度口を挟むシーンを引いてみる(301頁2コマめ〜3コマめ)。
? :「16番 24番 41番 71番 95番/といったところですかな 決定は」/
林 :「いやしかし87番を切りすてるのはおしいですな」/
結局、マヤは「田淵エミのクラスメイト役5名」には残れず、302頁1コマめ〜2コマめ「16番! 27番! 45番!/71番! 95番 以上!」と発表されるのだが、一覧にするとこうなる。
第1次審査結果 16番 27番 31番 45番 60番 …… 87番 ……
第2次審査途中 16番 24番 41番 71番 95番
第2次審査結果 16番 27番 45番 71番 95番
第1次審査結果では「87番」が呼ばれる前後に省略があったと見られるから「71番 95番」が残っているのはおかしくないが、第2次審査途中で「24番 41番」となっているのは間違いだろう。マヤは第1次・第2次審査ともに「87番」であって、途中で一部番号を変えたとは思えない。
最後にどうでも良いことを1点。第2巻185頁4コマめ「明日の歌謡ショー」の「日」の字が「曰」になっている。例えば221頁6コマめの「日がない」の「日」を参照。(以下続稿)