瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

美内すずえ『ガラスの仮面』(32)

 今日は、昨日改めて読み返して、改めて思ったことを書いておく。

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・単行本第17巻31頁、昨日も書いたように亜弓さんが白目で乙部のりえに念を送っているのだが、このシーンは28頁からの続きである。28頁から30頁までの亜弓さんの心内語を拾って置こう。

・単行本第17巻28頁文庫版第10巻182頁)2コマめ
亜弓:白目(乙部のりえ…!/ひきょうな手段で北島マヤの演技をじゃまし/舞台に出られないようしくんでその座を奪った少女…!)
・29頁1コマめ
亜弓:(あなたなど同じ役者の風上にもおけない!/役者は演技で勝負するものよ……!)
・29頁4コマめ
亜弓:(きょうの舞台は役者は実力と才能だけがものをいうのだということを思いしらせてあげる……!/あなたとわたしの実力の差をはっきりと思いしらせてあげる…!/そして北島マヤとの才能の差を…!)
・30頁1コマめ
亜弓:白目(みてらっしゃい…!/わたしはあなたのようなひきょうな役者は許せないの…!)
・30頁2コマめ
亜弓:(北島マヤのためにも…!)


 亜弓さん、凄い気合いが入っているのだが、しかし、違和感を覚える。――じゃあ小野寺先生はどうなる? 全日本演劇コンクールで劇団つきかげを「舞台に出られないようしくんで」、たまたま居残ったマヤが1人で演じ切ってしまうのだが、その審査結果に客席から(!)横やりを入れて潰した、卑怯のお手本のような方が身近にいらっしゃるじゃないか。それとも、……あの、異様に勘の鋭い亜弓さんが、この小野寺先生の一件だけ、今に至るまで全く気付いていないというのか。――いや、気付いてないことになってるんだろうけど。
 この小野寺先生の妨害工作も、劇団つきかげは最後まで抗弁せずに、されるがままなのだが、マヤが1人で演じざるをえなくなった時点で、主催の全日本演劇連盟には、当然、器物損壊その他の事情を説明していて良さそうなものだ。この辺りは、メモは取って置いたので、気が向いたら書くことにする。
 しかし、筋に対する突っ込みなぞは、作中の展開は作中に描かれた通りにしかならないので、言ってみても詮無いことなのだけれども、野暮を承知で。(以下続稿)