『ガラスの仮面 第7巻 炎のエチュード①(白泉社文庫)』(一九九四年六月二十二日初版発行・一九九六年一月二十五日第十五刷発行・定価563円・白泉社・313頁)
- 作者: 美内すずえ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1994/06/01
- メディア: 文庫
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・単行本第11巻27頁(文庫版第7巻5頁)1コマめの山脇専務の台詞「いや わたしはだんぜん姫川亜弓を押しますね!」やはり「推します」では? 姫川亜弓を推しているのは28頁(文庫版6頁)1コマめの小野寺一の心内語によると「演出家のわしと 制作部長 山脇専務はわしの味方だ」である。この禿て太った初老の男は44頁(文庫版22頁)3コマめにより山脇専務と判明するから、27頁3コマめで姫川亜弓推し発言をする男性が制作部長である。この人が姫川亜弓を推す理由は「劇場側」の「メリット」で、長髪眼鏡の男性の反論を受けて、27頁4コマめでもやはり「興業として当然…」云々と意見を述べるのだが「興業」は文庫版では「興行」と訂正されている。そして27頁5コマめ、結果が読めている小野寺先生が「フフ‥」と余裕の笑みを浮かべる脇で激論になるのだが、議論の内容は書かれず「ケンケンガクガク」で済まされている。これは「侃々諤々(かんかんがくがく)」と「喧々囂々(けんけんごうごう)」が混ざった形である。――投票の結果、サリバン役の姫川歌子以外の6人は票が割れるのだが、小野寺先生の心内語を参照するに、これは事実上姫川亜弓の敗北ということになろう。工作していない3人は全て北島マヤに入れたのだから。いや、小野寺先生一派の、山脇専務の過剰なマヤ批判と制作部長の「劇場側のメリット」というオーディションを無にする発言が反発を生んで、北島票を投じさせた可能性が高い。山脇専務が穏やかに「やはり姫川亜弓ですな」と言っていたら……「ケンケンガクガク」させてしまったのが敗因だろう。
・単行本第11巻43頁(文庫版第7巻21頁)1コマめ、マヤの心内語「小野寺演出家…!/速水真澄と共に月影先生やあたし達を苦しめている愚劣な男…!」とあるのだが「愚劣」ではなく「卑劣」だろう。
・単行本第11巻50頁5コマめ(本読み)と126頁3コマめ(本番)のサリバン(姫川歌子)の台詞のうち「生まれつきの啞ではないとおっしゃいましたね?」は、文庫版第7巻28頁・104頁では「生まれつきのろう啞者ではないとおっしゃいましたね?」に改められている。
・単行本第11巻88頁(文庫版第7巻66頁)2コマめ、部屋の表札、右側「用務員」とある。しかし1コマめに描かれる左側には「・・・・」とあって4文字あるらしい。そしてその通り、単行本第11巻91頁(文庫版第7巻69頁)4コマめに描かれる左側は「用務員室」である。
・単行本第11巻137頁2コマめ「盲目」にルビ「めくら」。文庫版第7巻115頁では「もうもく」。
・単行本第11巻144頁3・4・6コマはヘレンの父ケラー氏(神野克彦)が「盲」を連発。文庫版第7巻115頁では「盲目」となっている。当然のことながらテンポは悪くなっている。
・単行本第11巻169頁(文庫版第7巻147頁)5コマめ、サリバンの台詞3つがそれぞれ「 !?」で結ばれている。「この暴君にですか !?/家中が子の子の気まぐれに振りまわされているんです !?/この子がしたいと思ってできなかったことがなにかありますか !?」。しかし2つめは「?」は不要で「 !!」もしくは「!」で良かろう。(以下続稿)