瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

鎌倉の案内書(15)

 昨日紹介した湯本和夫『鎌倉謎とき散歩』ビジュアルガイド版の、2011年12月20日付に紹介した『鎌倉謎とき散歩』改訂新版との関係だが、全く触れられていない。
 すなわち、初版の「目次」の最後(21頁左)に、以下のようにある。

※本書は、『鎌倉謎とき散歩・史都のロマン編』『鎌倉謎とき散歩・古寺伝説編』(廣済堂文庫、一九九三年初版発行)/
 をもとに、新たな情報を加えて再構成したものです。
※本書のデータは、二〇〇七年二月二十日現在です。変更されることがありますので、お出かけ前にお確かめください。

 改訂版の「目次」の最後(21頁左下)には、以下のようにある。

※本書は、『鎌倉謎とき散歩・史都のロマン編』『鎌倉謎/とき散歩・古寺伝説編』(廣済堂文庫、一九九三年刊)/をもとに、新たな情報を加えて再構成した『ビジュア/ルガイド版 鎌倉謎とき散歩』(二〇〇七年刊)の改/訂版です。
※本書のデータは、二〇一〇年八月現在です。変更される/ことがありますので、お出かけ前にお確かめください。

 文庫版(1993)とビジュアルガイド版(2007)の間に、改訂新版(1996)が出ているのだが、その存在には全く触れるところがない。しかし、全く関係がない訳ではない。文庫版を見たらまた改めて触れることにして、以下差し当たり、ビジュアルガイド版が改訂新版と対応している箇所を指摘して置こう。
 「鎌倉駅周辺」第一話 鶴岡八幡宮(26〜43頁)は141〜154頁「鶴岡八幡宮を歩く」の章の全文。第二話 海蔵寺(45〜54頁)は39〜72頁「のどかな扇ケ谷から化粧坂を登る」の章の「海蔵寺と十六の井の謎」の節の全文(51頁〜58頁4行め)。第三話 瑞泉寺(56〜62頁)は155〜182頁「覚園寺鎌倉時代にタイムスリップ」の章の「平泉文化に刺激されて建立した大寺院・永福寺の夢の跡」の節(171頁10行め〜182頁)の後半(178頁12行め〜182頁)。
 「北鎌倉」は5〜38頁「円覚寺建長寺で鎌倉らしさを感じる」の章に対応している。すなわち、第四話 円覚寺(66〜76頁)は「説法を聞きに白鹿の群れがやってきた円覚寺」の節(6頁〜12頁10行め)、第五話 東慶寺(78〜93頁)は「困った女性を救った東慶寺」の節(12頁11行め〜24頁)の末尾の浄智寺の記述(24頁8行め〜)を除く部分。第六話 明月院(95〜101頁)は「アジサイがなかったころの明月院」の節(25頁〜29頁11行め)で、時頼廟の庵のその後や、拝観料の記述は新たな加筆である。第七話 建長寺(103〜113頁)は「五山第一位、建長寺の本尊はなんとお地蔵さま」の節(29頁12行め〜35頁14行め)。
 「江ノ電沿線」第八話 鎌倉大仏(122〜133頁)は253〜288頁「大仏さまには謎がいっぱい」の章の「大仏は二代目?三代目」の節(258頁7行め〜264頁6行め)と「大仏が歩けば東京まで約六十分」の節(274頁5行め〜276頁13行め)で、その間にある大仏殿や鋳造技術についての2つの節、その後の材料についての節は省略している。第九話 極楽寺(135〜141頁)は同じ章の「幕府軍、新田軍の激戦の地、極楽坂切通し」の節(280〜288頁)のうち、282頁2行め〜286頁に対応している。なお本文281頁12行めには「極楽寺坂の切通し」とある。第十話 江の島(143〜153頁)は337〜363頁「江の島は神秘に満ちた観光地」の章の「洞窟内の神秘を探る」 の節(341頁6行め〜344頁15行め)と「興味深い江の島の金石文」の節(344頁15行め〜348頁10行め)と「大出世をもたらした杉山検校の江の島弁天詣で」の節(348頁11行め〜352頁4行め)だが、このうち杉山検校の件はかなり簡略化されている。なお、島の出現譚や弁天さまに関する節(「裸弁天はこんな年増ではなかった」)はビジュアルガイド版には取られていない。ビジュアルガイド版145頁に「江島神社辺津宮奉安殿にある裸弁財天像」のスケッチが掲載されているのだが。
 全部読んだ訳ではないのでざっと見ての印象だが、新たな加筆もあるが、目次にも断ってある通り、記述の順序を変えるなどの「再構成」というべきものが主である。各話の間に店の紹介が挟まっている。