瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

太宰治『斜陽』の文庫本(08)

新潮文庫261(08)
 字数がズレても段落が変わるごとにリセットされる訳だが、それでも少しずつズレて、最終的に22行のズレになっている。それを、これから確認してみたい。
+1行 14頁1行め。13頁18行めは「下の農家の娘さん」の台詞。は読点2箇を半角にして1行に収めているが、は台詞(鍵括弧)の最後に句点を打っているので、句点+鍵括弧閉じとで「ぶら下げ」でも対処出来なくなり(は読点を半角にして詰める、というに多用されている処理は行っていない)、13頁18行めを42字にして、14頁1行めに「よ。」」を回している。
+2行 の15頁1行め「だから、ちっとも知らなかった。」で段落が変わって、2行め「 けれども、そのお父上の……」となっているが、では14行め「だから、ちっとも知らなかった。けれども、そのお父上の……」と続いていて、段落が変わっていない。
+3行 37頁8行め「た。」。3〜8行めの段落、では37頁1〜5行めで、37頁2〜3行め「巡査のところでは、二宮巡査が、よか/った、よかったとおっしゃってくれるし」のうち、2行めの読点2箇が半角になっている。また3行めは37頁5行めだが「かった、よかった、とおっしゃってくれるし」と新たに読点1箇が打たれて、都合2字ズレて1行増えたのである。
+4行 42頁14行め「ど。」」、ここは+1行のところと同じ理由で、はこの台詞を、読点2箇半角と台詞の最後の句点を打たないこととで42頁10行めの1行に収めているが、読点を半角にせず鍵括弧内の最後に句点を打つようにしたために、1行増えている。(以下続稿)

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 八十一刷と八十六刷のカバーの比較。表紙は、八十六刷の方が色が暗いように見える。カバー折返し、八十六刷については7月4日付(3)に記述したが、八十一刷は「新潮日本文学アルバム」19『太宰治』の広告、裏表紙折返しはほぼ完全に保存されており、八十六刷で読めなかったところは、やはり「奥野健男の作品太宰治論」であった。また「錦明印刷」の右には、やはり文字はなかった。八十六刷のカバー裏表紙は7月15日付(4)に記述したが、八十一刷は定価の下の「(本体214円)」がないだけである*1
 カバー背表紙について、これまでメモするのを忘れていたが、黒地に白抜き明朝体で上部に標題、中央やや下に著者名、下部、角切の長方形に白く抜いてその中にゴシック体で[た 2 2]、白抜きゴシック体で「新潮文庫」最下部に八十一刷は「220」、八十六刷も同じ数字だが白の下線がある。ちなみに百二十四刷は文字が一回り大きく、最下部は「\324」に下線*2

*1:7月26日追記】その後、カバーがほぼ完全に保存されている八十六刷を見た。裏表紙折返しは八十一刷に一致している。

*2:2016年5月5日追記】百九刷と百十六刷も同じ。