瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

森鴎外『山椒大夫』の文庫本(6)

・角川文庫17400『山椒大夫高瀬舟阿部一族』(2)
 11月10日付(5)の続き。
 角川文庫695【五十三版】と角川文庫17400【改版初版】の、本体の方を比較してみる。
 1頁(頁付なし)は文庫番号が異なるのみ。
 五十三版は「目次」を3頁に収めているが、改版初版では3頁(頁付なし)は「目次」の扉で、4〜5頁に、1頁8行でゆったりと細目を示す。
 五十三版は5頁(頁付なし)が「山椒大夫」の扉で6頁から本文。改版初版は作品ごとの扉はなくなって、冒頭に5行分取って題を入れる(題の前後2行ずつ空白)。1頁16行、1行38字(12.0×8.0cm)。
 収録作品は同じだが、順序が変わっている。山椒大夫(7〜48頁)じいさんばあさん(49〜59頁)最後の一句(60〜77頁)高瀬舟(78〜92頁)附高瀬舟縁起(93〜95頁)魚玄機(96〜116頁)寒山拾得(117〜129頁)附寒山拾得縁起(130〜132頁)興津弥五右衛門の遺書(133〜145頁)阿部一族(146〜195頁)佐橋甚五郎(196〜207頁)。
 ちなみに「目次」には五十三版と同じルビが附されている。各作品の題のルビは「目次」に同じ。
 208〜256頁「注釈」は1頁19行、1行41字。山椒大夫(208頁1行め〜214頁7行め)65項目、じいさんばあさん(214頁8行め〜216頁16行め)36項目、最後の一句(216頁17行め〜219頁8行め)40項目、高瀬舟(219頁9行め〜221頁16行め)40項目、附高瀬舟縁起(221頁17行め〜222頁17行め)13項目、魚玄機(222頁18行め〜229頁10行め)118項目、寒山拾得(229頁11行め〜232頁1行め)38項目、附寒山拾得縁起(232頁2〜10行め)6項目、興津弥五右衛門の遺書(232頁11行め〜243頁5行め)164項目、阿部一族(243頁6行め〜254頁17行め)192項目、佐橋甚五郎(254頁17行め〜256頁)27項目。五十三版の191〜215頁「註釈」に比較して、かなりの項目の追加と書き換えがなされている。詳しい比較は後日、他の文庫の註とも比較しつつ果たすこととしたい。
 「解説」は目次では高橋義孝森鴎外――人と作品」と五味渕典嗣「作品解説」とから成っているようだが、本文を見るに257〜273頁「解説」は高橋氏の文のみで、「作品解説」は頁を改めて(273頁は7行までで以下は余白)274〜285頁まで、「解説」と対等の大きさで示されている。高橋氏の文は前半が「その生涯と作品」264頁11行めまで、後半は「鴎外の歴史小説について」。
 286頁「初出一覧」16行。287〜301頁「年譜」2段組で末尾に(稲垣達郎)とあり、さらに「――改版にあたり、補訂を行いました。/(編集部)」と追加されている。この「年譜」についても、時間の余裕のあるときに他の文庫の年譜などとも合わせて検討することとしたい。
 頁付があるのはここまで。その裏に末尾に(編集部)とある底本と「人権擁護の見地に照らして、不適切と思われる語句や表現」についての断り書が6行。前半の3行を引いて置く。

本書は、岩波書店版『鴎外全集』第十、十一、十五、十六巻(一九七二―三/年、第二刷一九八七―八年)を底本とし、角川文庫旧版(一九六七年二月二/十八日初版)ほかを参照して、原文を新字・新かなづかいに改めました。


 次に奥付。その裏が「角川文庫発刊に際して」。(以下続稿)