・新潮文庫2819『津軽通信』（２）
7月3日付（１）の続き。
十四刷は十八刷・十九刷・二十刷とほぼ同じ*1。
奥付の前にある「新潮文庫最新刊」3頁が違うのは言わずもがなだが、その前にある1頁に6種を紹介する9頁の目録は十四刷と十八刷は一致、十九刷もほぼ同じだが5頁め、島崎藤村の作品を6種並べたところ、十四刷・十八刷では1つめ『嵐・ある女の生涯』だったのが十九刷ではなくなり、6つめに新たに『千曲川のスケッチ』が追加されている。十四刷・十八刷の4つめ『家』と6つめ『夜明け前』にはそれぞれ標題の左下に（全二冊）（全四冊）とあったが、十九刷の3つめ・5つめでは（上・下）（第一部上・下、第二部上・下）に改められている。二十刷は十九刷に同じ*2。
奥付、発行日の他に異同としては、発行者が十四刷「佐藤亮一」→十八刷「佐藤隆信」、郵便番号が十四刷3桁から十八刷7桁に、電話が十四刷「営業部／編集部」→十八刷「編集部／読者係」但し営業部と読者係は同じ番号、編集部の番号も同じ。その次に十四刷・十八刷ではあった「振替」番号は十九刷にはない。また十四刷「© Michiko Tsushima 1982」十八刷「© Sonoko Tsushima 1982」も十九刷にはない*3。平成10年（1998）十八刷の前年に未亡人の津島美知子（1912.1.31〜1997.2.1）が死去し、長女の津島園子（1941.6.8生）に著作権が継承されたからだが、「七月二十日」とある十八刷では、昭和23年（1948）6月13日深更に玉川上水に入り誕生日の19日に遺体が発見された太宰治（1909.6.19〜1948.6.13）の死後、50年経過してしまっているではないか、と思う人もいるかも知れないけれども、50年経過した年の年末までが保護期間なので、平成11年（1999）から著作権が切れたのである*4。
二十二刷と二十五刷の目録8頁は一致*5、「新潮文庫最新刊」3頁、奥付、二十刷まではなかったHPアドレスが二十二刷では追加されている*6。また、最下部のISBNコードが十四刷から二十二刷まで10桁で同一だったのが、二十五刷では13桁に変わっている*7。
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初刷は未見だが、①初刷から二十刷までは同版で②二十一刷改版の2種として、整理してみる。
1頁（頁付なし）扉は同じように見えるが②の方が匡郭が太いようだ。3〜4頁（頁付なし）「目次」は文字の大きさに違いがあるものの字配りなどは同じ。5頁（頁付なし）中扉で標題「津軽通信」、7頁（頁付なし）が「短篇集」の扉。8頁から本文で頁付がある。①は1頁18行、1行43字。②は1頁16行、1行38字。（以下続稿）
*1:【12月17日追記】十五刷は「新潮文庫最新刊」3頁と奥付の発行日が違うのみで他は十四刷に一致。
*2:【9月29日追記】七刷、頁付のある最後の242頁の次、「文字づかいについて」は6項目、今手許にある十八刷は4項目で、七刷にあったもののうち「五」と「六」に当たる項目がなくなっている。その裏から目録が9頁と「新潮文庫最新刊」3頁。目録の1〜2頁めは一致、夏目漱石の6点が載る3頁めは十八刷の4頁め、4頁めは太宰治著『きりぎりす』『もの思う葦』と森鴎外著の『雁』『青年』『阿部一族・舞姫』『山椒大夫・高瀬舟』で十八刷では3頁めに太宰治著『きりぎりす』『もの思う葦』『新樹の言葉』『ろまん燈籠』と森鴎外著の『雁』『青年』。5〜7頁めは十八刷と一致、8頁め、2つめにあった「暗夜行路（全二冊）」が十八刷では5つめに「暗夜行路」とのみあって冊数がない。8頁めは一致。
*3:【9月29日追記】七刷、「電話」は「業務部／編集部」で前者は今手許にある十八刷の「読者係」と同じ番号、但し七刷では市外局番の次の「三」はまだない。「振替」は「東京四―八〇八番」で十八刷は漢数字（とハイフン）9桁。「定価は……」は十八刷では「価格は……」。「小社通信係宛」は十八刷「小社読者係宛」。著作権者はもちろん妻の方。
*4:だから、昭和37年（1962）に死去した人の著作を、命日の経過を待って今年のうちにネットに上げたりすると、著作権侵害になる。
*5:【7月31日追記】投稿当時「6頁」としていたのを「8頁」に訂正。その後見た二十三刷も一致、二十一刷改版は8頁めの1つめが永井荷風『ふらんす物語』2つめが林芙美子『放浪記』3つめが永井荷風『�彦東綺譚』という順番だったが、二十二刷で『放浪記』と『�彦東綺譚』の順序を入れ替えて荷風が2つ並ぶように改めた（ようだ。二十二刷が今手許にないので二十三刷・二十五刷に拠る）。
*6:【7月31日追記】二十一刷改版で既に追加されている。
*7:【7月31日追記】二十三刷で既に13桁になっている。
