瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

芥川龍之介『羅生門』の文庫本(09)

・角川文庫45『羅生門・鼻・芋粥』(3)
 昨日の続きで、角川文庫45【改版四十三版】(314頁)・角川文庫7499【再版】【十七版】(213頁)・角川文庫14718(251頁)の本体の比較、「注釈」について。
 角川文庫45【改版四十三版】257〜276頁、角川文庫7499は175〜189頁、1頁21行、1行49字分。冒頭、1行空白、3字下げで大きく「注 釈」、2行空白があって角川文庫45【改版四十三版】は注釈が並ぶが、角川文庫7499は2行取り6字下げで「老 年」の如く作品名を示す。注の示し方は前回「校正後に」の注を引用して置いたが、半角漢数字で頁数、ついで*があってすぐ下に注釈を附した語、1字空けて説明。細かい比較はしていないが振仮名や組み方など角川文庫7499は角川文庫45【改版四十三版】にそのまま一致するようである。
 角川文庫14718では200〜219頁、1頁19行、1行41字分、冒頭「注 釈」の前後1行ずつ空白、その他の形式は同じだが半角漢数字と*の間に半角スペースがある。また昨日の表に示したように、注釈の数が増えているものとそうでないものがある。以下、追加された注を挙げて見る。「老年」茶式料理屋・一中節・順講・鉄無地・きんとうし・黒油・山城河岸・千社札の会・神代杉・太祇・本卦返り・歌沢・成田屋・五代目・板新道・新内・房的、「羅生門」下人・蟋蟀・市女笠・揉烏帽子・Sentimentalisme・嚔・檜皮色・頭身の毛も太る・弩・黒洞々たる、「」ちゃくいぜ、「煙管西王母、「葬儀記」曲禄。
 細かい比較はしていないが、目立つ異同を1箇所だけ見出した。
 角川文庫45【改版四十三版】267頁21行め〜268頁1行めと角川文庫7499の185頁10〜11頁は頁数と違うだけで内容は同じ、前者には「一七六*St. John Ervine 一八八三―一九七一年。イギリスの劇作家、小説家。/  *The Critics 批評家。」とあり後者は半角漢数字「一七六」が「一三五」に変わっただけである。これが角川文庫14718の214頁12〜14行めでは次のようになっている。

一五三 *St. John Ervine セント・ジョン・アーヴィン、一八八三―一九七一年。アイルラ/
     ンドの劇作家、小説家。
    *The Critics 「批評家」。戯曲集 Four Irish Plays(一九一四年)に所収。


 本文は「St. John Ervine の The Critics という脚本を読みながら、」だから、「批評家」だけでも、足りていると言えなくはない。(以下続稿)