瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

森鴎外『舞姫』の文庫本(7)

・角川文庫704『舞姫うたかたの記
 2011年3月10日付(3)及び2011年3月17日付(4)で取り上げた、改版八版と同じカバー表紙の本を見たので、比較してみたくなった。以下、改版八版と比較しつつ記述して置く。
【改版二十九版】昭和二十九年六月三十日初版発行/昭和四十二年七月三十日三十版発行/昭和六十一年七月十日改版二十九版発行・定価220円・158頁
 カバー表紙は改版八版に一致。
 カバー表紙折返し、横組みで上部に「舞姫うたかたの記」と題して明朝体9行(1行17行)の紹介文、下部に「月刊カドカワ」の広告、最下部右寄りにゴシック体横組み「カバー 内藤健二」とある。
 カバー裏表紙折返しも横組みで、上部に「角川文庫森 鴎外作品集」とあって1行分空白を挟んで「舞姫うたかたの記/雁・ヰタ セクスアリス・山椒大夫阿部一族」とあり、左下に小さく「カバー 暁印刷」右下にKBマーク。
 カバー裏表紙は最上部に「ISBN4-04-100301-6 C0193\220E 定価220円」とあるのみ。
 カバー背表紙も改版八版とほぼ同じで異同は最下部の数字が「220」になっているのみだが、全体に文字が濃くなっている。
 本体の大きな異同は、まず1頁(頁付なし)の扉で、改版八版は双郭、右向きで脚を揃えて翼を広げた鳳凰という古い形式で、改版二十九版は現行のものと同じ形式で単郭の上部の子持枠内に、標題と著者名と左向きで羽を銜え翼と脚を広げた鳳凰に「角川文庫704」とあるのだが、特に標題の下に改版八版には「他二篇」とあるが、改版二十九版の扉にはない。この「他二篇」は改版八版のカバーにはなく、後述するように奥付にもない。本体表紙は未見。
 以下158頁まで一致するようである。本文は1行17字、1行43字。主要参考文献は1頁20行、1行48字。年譜は1段20行、1行23字。
 奥付、改版八版は古い形式で7.0×5.1cmの角に隙間のある単郭の右上に初版発行/三十版発行/改版八版発行の年月日が並び、その下に「定価は、帯・カバー/に明記してあります」とある。中央上部に横組みで「角 川 文 庫」1行分空けてやや小さく標題、その下に「角川/書店」の印。下部に「著作者  森  鴎 外/発行者  角 川 源 義/印刷者  渡 辺 竜 祐」が縦組みで並び、著作者にルビ「もりおうがい」、印刷者の左脇に住所(郵便番号なし)、その左に5.3cmの縦線があり、「発行所 〈東京都千代田区富士見二ノ十三/○一〇二 ○東京一九五二〇八〉 〈株式/会社〉角川書店」1つめの○の中に「郵」2つめの○の中に「振」。振替番号の「九」の左から「電話東京(265)七一一一(大代表)」、「265」は縦になっており縦幅1字分横幅2字分。匡郭外に、左辺の下寄りに「落丁・乱丁本はお取替えいたします」、下辺の下に「 Printed in Japan   都印刷・本間製本 /0193-100301-0946(0)」。
 改版二十九版は単郭内の上部に子持枠があって、横組みで扉と同じ文字が入っているが、扉では横幅のない強調された明朝体で入っていたのがゆったりと全角で「舞姫うたかたの記/森 鴎外」、それぞれ扉にはない振仮名「まいひめ・き/もりおうがい」があり、鳳凰は同じで丸ゴシック体「角川文庫」その右に1字分空けて「704」。子持枠の下に縦組みでまず初版発行/三十版発行/改版二十九版発行の日付、発行者、発行所(住所と電話〈編集部/営業部〉それぞれ9桁、「〒一〇二 振替東京③一九五二〇八」が1行)、「印刷所――旭印刷 製本所――千曲堂製本/装幀者――杉浦康平/落丁・乱丁本はお取替えいたします。/定価はカバーに明記してあります。」少し空けて「Printed in Japan」、単郭の下辺の下、右寄りに「ISBN4-04-100301-6 C0193」。
 奥付の裏「角川文庫発刊に際して」双郭は同じだが、改版八版は10.8×7.3cm、改版二十九版11.3×7.5cm。組み方は同じ。目録類はない。