瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

Wilhelm Meyer-Förster “Alt-Heidelberg”(4)

・角川文庫912『小説 アルト・ハイデルベルク マイアーフェルスター/番匠谷英一訳(1)
 同じ作者の戯曲“Alt-Heidelberg”の原作小説で、小説の方は“Karl Heinrich”という題なのだが、邦訳では「小説 アルト・ハイデルベルク」と題している。同内容なのだし、戯曲から興味を持って手にする人が多いであろうから、この処置は適当であろう。当ブログの記事も戯曲の題で一纏めにして置く。

アルト・ハイデルベルク―小説 (1954年) (角川文庫)

アルト・ハイデルベルク―小説 (1954年) (角川文庫)

改版八版】昭和二十九年十一月 十 日 初 版 発 行・昭和四十三年 十 月二十日 二十三版発行・昭和四十八年 九 月三十日 改版八版発行・¥120・174頁
改版十四版】昭和二十九年十一月 十 日 初 版 発 行・昭和四十三年 十 月二十日 二十三版発行・昭和五十二年 十 月二十日 改版十四版発行・¥180・174頁
 以前はよく読まれていたようだが、私の見た2冊は、改版八版は「55,2, 17」付の「寄贈」印、改版十四版には「[寄 贈]'08.12. 8」印がある。読まれなくなった本が図書館に寄贈されて、幸い、そのままリサイクルに回されずに残ったのである。
 カバーの刷りは改版八版の方が色が濃く、黒は太く、見える。また、改版十四刷の方が0.3cmほど上に刷りがズレている。
 カバー表紙は同じ。
 改版八版はカバー折返しが切除されているが、表紙折返しには右下に当たる部分に明朝体縦組みで「カバー 青木和代」とある。
 改版十四版のカバー表紙折返しは、全て横組みで、上部に、

小説 アルト・ハイデルベルク
 ハイデルベルクはドイツで一番美し/い町であり、そこにはドイツ最古の大/学がある。若い皇太子が慣習に従って/その由緒ある大学に一年間の学生生活/を送るべくハイデルベルクをおとずれ/て、やがてケーティーという純情可憐/な乙女と相知って恋をする。ドイツ演/劇のおはこ「アルト・ハイデルベルク」/の原作である。

とあって、標題と紹介文の間は半行分空いている。中央から下部に掛けて映画「人間の証明」の広告がある。この広告については2012年11月24日付「泉鏡花『高野聖』の文庫本(1)」及び2013年5月24日付「角川文庫の角川映画の広告(1)」に紹介した。最下部右寄りにゴシック体でやや小さく「カバー 青木和代」とある。
 カバー裏表紙折返し、左下に明朝体横組みで小さく「カバー 暁美術印刷」、右下にKBマーク。私の見た改版八版は同じ位置に「カバー」のみ残存。
 カバー裏表紙、左下に長方形の枠(0.5×1.2cm)があってその中に改版八版「¥120」改版十四版「¥180」、その右、改版八版は0.7cm空けて「0197-207401-0946(0)」、改版十四版は0.9cm空けて「0197-207401-0946(2)」とある。
 本体は174頁まで一致。
 奥付、中央やや下寄りに四隅の切れた枠(7.2×5.0cm)があり、右側に縦組みで発行日が3行、その下(右下隅)に「定価は、カバーに/明記してあります」とある。中央やや上に「角川/書店」の黒文方印、その上のみ横組みで、改版八版には

角 川 文 庫
  小 説
アルト・ハイ
   デルベルク

と組まれていたが、改版十四版には

 角 川 文 庫
   小 説
アルト・
 ハイデルベルク

となっている。ゴシック体の下は若干空いている。
 印の下は右に「訳 者  番 匠 谷 英一*1」、中に「発行者  角 川 源 義」で改版十四版は「角 川 春 樹」に代わっている。左に「印刷者  橋 本 伝 四 郎」左脇「者」の高さから小さく「市 川 市 湊 新 田 六 十 一」と添える。
 これらの左に縦線(5.3cm)があって、その左の縦組みは上部に「発行所 」、下部に「〈株式/会社〉角 川 書 店*2」左脇に「電話東京(265)七一一一(大代表)」算用数字は横並びで括弧もその分横幅がある。漢数字は半角。上部と下部の間に割書で右の住所「東京都千代田区富士見二ノ十三」は同じ、左は改版八版「郵一〇二 振東京一九五二〇八」で「郵」と「振」は○で囲われている。改版十四版「郵一〇二振東京③一九五二〇八」やはり「郵」と「振」は○で囲われている。
 匡郭左辺の下部「落丁・乱丁本はお取替えいたします  」とあり、匡郭下辺の下、1行めの左に「Printed in Japan」右に「新興印刷・本間製本」改版十四版は製本所が「多摩文庫」に代わっている。2行めはそれぞれカバー裏表紙の定価の右にある数字に同じ。
 奥付の裏は角川源義「角川文庫発刊に際して」で、四隅の切れている双郭は改版八版10.7×7.2cm、改版十四版10.9×7.3cm。1段落め(5行)は一致するが2段落め(10行)は改行位置が9行中6行で異なっている。目録はない。(以下続稿)

*1:ルビ「ばん しょうや   えいいち」。

*2:ルビ「かど かわ しょ てん」。